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8万人が宇都宮郊外の山中に集結!
自転車ロードレースの国内最高峰。
text by
生島洋介Yosuke Ikushima
photograph bySonoko Tanaka
posted2018/10/28 10:00
山道を駆け抜けていく自転車も壮観だが、脇を埋めつくす観客もそれに負けずに壮観だ。
トップ選手が引退の場所に選ぶことも。
また、シーズン最終盤というタイミングのため、これを引退レースに選ぶ選手も多い。
今年も例外ではなく、この大会が見納めとなる選手の中にはBMCレーシングチームのサイモン・ゲランスもいた。グランツール3大会で区間優勝を挙げている実力者だ。
ワールドチームで活躍したのち、日本のチーム右京でタイトルを重ねてきたオスカル・プジョルも最後の勇姿を見せた。
サッカーで言えば、欧州組がこれほど増える前のトヨタカップのようなものだろうか。テニスで言えば、錦織圭登場以前のジャパンオープンが似ている。最高峰のレースではないし、優勝争いをする日本人もほとんどいないけれど、テレビでしか観られない本物のトップ選手をこの山道なら間近で観ることができる。
ヨーロッパ人が驚くファンの若さ。
だがジャパンカップが世界的に珍しいのは、単に集客力だけではないという。イタリア籍のチーム、NIPPO・ヴィーニファンティーニの大門宏監督が教えてくれた。
「ヨーロッパでの自転車競技は、日本での柔道や水泳、体操のような昔ながらの人気スポーツ。安定した人気はありますが、年々ファンの年齢層が高くなっているんです。だから向こうの監督がここへ来ると皆びっくりしますよ。まさか日本にこんなたくさんの若いファンがいるなんて、と」
実際、選手たちを追いかけるチーム車両のスタッフが助手席から沿道の若い熱気をスマホに収める姿はあちこちにあったし、複数チームのインスタアカウントから世界に発信されていた。
大門監督は続けた。
「こういう人気があるということは、別府や新城幸也のようにワールドツアーで活躍する日本人がだんだん増えてくるんじゃないかと思っています」