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宮里優作が戦った“欧州ツアー”。
流動的な日程、テロにもめげず。 

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桂川洋一

桂川洋一Yoichi Katsuragawa

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photograph byYoichi Katsuragawa

posted2018/10/25 16:30

宮里優作が戦った“欧州ツアー”。流動的な日程、テロにもめげず。<Number Web> photograph by Yoichi Katsuragawa

“欧州ツアー”を主戦場とした宮里優作。厳しい環境でもたくましくラウンドを続けた。

流動的なスケジュール管理。

 宮里は今年、アフィリエイトメンバーという本来のシード選手に次ぐ、“準シード”というカテゴリーでシーズンに参戦した。各大会から主催者推薦を受けて出る試合もあったが、自分よりも優先順位が高い選手の出場可否によって処遇が決まるため、いつも直前まで“待ちぼうけ”だった。

「出られると思っていたら出られないとか、出られると思っていたら出られないとか……。あるイギリスの試合は何カ月も前に『ぜひ来てください』と言われていたのに、結局出られなかったりして(笑)」

 実はレギュラーシーズンの最終戦、スペインでのアンダルシア・バルデラママスターズという試合の週に、宮里は日本ツアーに出場した。本来はシード確保がかかる大事な試合だが、出場は難しいと聞いて帰国を決めた。それが大会の前週日曜日になって「出られますよ」なんていう案内が来るものだから、なんともやりきれない。

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 学生時代にエリート街道を歩み、プロになって初優勝までは11年かかったものの、これほど流動的なスケジュール管理を強いられたことはなかった。

「こんな風に(1年を)過ごしたのは初めて。でもこれで(シードを)取れなかったら、本当に残念だった。『またイチからやり直しかよ……』となってしまうところだったから」

 期待と落胆を繰り返し、ヤキモキしながらつかんだ新しい“身分”には、結果以上の安堵感が詰め込まれていた。

移動も「意外とラクだった」。

 やっとの思いでつかんだ海外ツアーへの切符。喜び勇んで飛び込んだ世界は新鮮だった。

「選手のレベルは高い。それにコースは日本よりも狭い気がする」

 欧州ツアーにはフェアウェイが絞られ、両サイドには池や深い茂み、荒れ地が続くコースが予想よりもはるかに多かった。

「一番はフランスのコース。本当に良いコースだった」

 今年の欧米対抗戦・ライダーカップが行われたル・ゴルフ・ナショナルとも向き合うことができた。

 毎週、プレーする国が変わるこのツアーでは移動がまず大変だ。

「でも、意外とラクだった。EU圏の移動だとパスポートコントロールもないしね。他の国だと(イミグレーション/出入国管理に)並ばないといけない。ロストバゲージ(荷物の紛失、遅延)はもちろんあるけど」

 各地方でその都度レストランを探しながら、飛行機を乗り継いでいく。異国での生活が続くと、とんでもない出来事に遭遇することもある。

【次ページ】 テロに巻き込まれかけて。

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