ゴルフボールの転がる先BACK NUMBER
宮里優作が戦った“欧州ツアー”。
流動的な日程、テロにもめげず。
text by
桂川洋一Yoichi Katsuragawa
photograph byYoichi Katsuragawa
posted2018/10/25 16:30
“欧州ツアー”を主戦場とした宮里優作。厳しい環境でもたくましくラウンドを続けた。
テロに巻き込まれかけて。
9月末、フランス・パリのオルリー空港でのこと。シャルルドゴール空港までバス移動をしようとした際、施設全体が突然騒然となった。あたりが封鎖され、宮里から40mほど先の通路に爆発物処理のロボットがやってくるではないか。
ゴミ箱らしきものが囲まれると、「耳をふさいでください」というアナウンスが響く。
「そうしたら、ボーン!! って」
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危うくテロに巻き込まれるところだった。とはいえ、(もちろん無事であれば)そんな珍道中も精神的な成長を促すひとつである。
向こうでもアジャストできた。
ひとつの目標をクリアしたとはいえ、故障から回復の兆しを見せている最近は、コースの中で、ゴルフに悩んで仕方がない。腰の痛みが長引いたせいでスイングを崩してしまった。帰国して出場した日本ツアーでは予選落ちが2週続いた。
「だから毎日、毎日、すごく練習してる」と、一段落ついたという様子も感じられない。日々、修正を施しては打ちのめされ、わずかな収穫に希望を見出す。
「特にドライバーショットの調子が悪くて、右にボールが出て右に曲がっていくことが多い。アプローチ、パットは向こうでも、だんだんアジャストできてきた。だからドライバーさえ真っすぐいけば、何とかなるんじゃないかなという感じはあるんだけど……」
選手寿命の長いプロゴルファーであっても、38歳といえばもう立派なベテランだ。それでも気持ちを若く保ち、ハートに行動が伴えば、いくつになっても初体験を味わうことができる。
「来年はまず、スケジュールが立てられるのがうれしい」
笑顔でこぼした、冗談のような言葉には、まぎれもない苦労の成果が込められていた。
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