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運動会での「かけっこ上達法」、
ヒントは電車の車輪とAKBの曲?
text by
茂野聡士Satoshi Shigeno
photograph byAFLO
posted2018/09/24 08:00
リオ五輪100m準決勝で同組だったウサイン・ボルトと山縣亮太。言ってみれば、かけっこの世界的頂点だ。
テンポのいい歌に合わせてみる。
――他にも足が速くなる秘訣ってありますか?
「足を運ぶ歩幅とリズムですね。小学校でよくある50m走で、加速を抜きにして考えてみましょう。Aくんの1歩の歩幅が1mだとすると、50mを進むために50歩必要です。その1歩を1秒間に何回踏み込めるかによって、到着する時間が変わります」
――例えば1秒に1回なら50秒、2回なら25秒……と。
「ですよね。『歩幅を広げて、1秒間に踏む歩数を増やす』ことができれば、時間は縮まるんです。40歩で50mを進む場合、50m÷40歩=1.25m(1歩ずつの歩幅)。これで1秒ごとの歩数を増やせれば、タイムはより早まります。ボルト選手は190cmを超す長身で、歩幅が長いのも上手に利用していましたよね」
――理論的には分かりやすいんですけど、みんな速く走りたいという気持ちが強すぎて、そこまで意識が回らなそうです。
「ここでお勧めしたいのが、テンポのいい歌に合わせて足を運ぶことです。小学生にはちょっと難しいかもしれませんが、音楽好きなお父さんお母さんなら『BPM』という単位を聞いたことがあるかと思います」
――確か1分間の拍数のことですよね、Beats Per Minute。
「はい。120BPMの曲だと1分間で120拍、つまり1秒間に2拍です。このリズムに合わせて歩幅1mとすると……50m走るのに25秒かかりますね。なので、手を叩いて1秒間に4拍のリズムにしてみます。そのペースで走らせてあげるとどうですか?」
――半分のタイムだから、12.5秒になる。このタイムは小学校低学年でも少し遅い感じはしますが。
「ですね。なので歩幅を広げつつ、アップテンポにしていきましょう。まず入門として、『右・左・右・左』の2歩ずつで練習させて、徐々に長い時間にして走らせればいいんです。ちなみにこの練習、とってもピッタリなのはAKB48のあの曲です……ラッキーフォーチュン、でしたっけ?」