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2時間1分台の世界新より恐るべき、
キプチョゲの「ラスト2.195km」。
posted2018/09/22 11:00
text by
金哲彦Tetsuhiko Kin
photograph by
AFLO
ベルリンマラソンでエリウド・キプチョゲ(ケニア)が2時間1分39秒の世界新記録をマークした。従来の記録2時間2分台(2時間2分57秒)をあっさり、なんと1分18秒も大幅に破った偉業である。
実は、レースの日の早朝「ベルリンではキプチョゲが1分台を出すかもしれませんね」というタイム予想を、シドニーマラソン解説の直後にテレビ局関係者と話していた。彼なら2時間2分台の世界記録では満足しないと思ったからだ。
キプチョゲの勝負強さは、リオ五輪(2016年)の金メダルが物語っている。
また、世界記録更新の可能性がいかに高かったかということも、昨年5月にフルマラソンでの2時間切りを目指すイベントとして開催された「ブレイキング2」で実証済みである。
非公認とはいえ、キプチョゲはすでに42.195キロを2時間0分25秒で走っているのだ。
だから正直、10年前の2008年、ベルリンマラソンで2時間4分の壁を世界で初めて破ったハイレ・ゲブレセラシエ(エチオピア)のときほどの衝撃はない。
キプチョゲはいまだ進化の過程。
では当時と今では、何が違うのか?
ゲブレセラシエの時は、1つの大きな壁が破られた歴史的偉業という印象が強かった。
キプチョゲの場合、オリンピック金メダルと世界記録という2つを称号を得たことで、間違いなく世界No.1のマラソンランナーである。ただ彼は、いまだ進化している過程での記録更新という印象なのである。
車で言えば、時速300キロ近く出せるスポーツカーでありながら、燃費もハイブリッドカーに負けないという性能を持つスーパーマシンなのだ。