福西崇史の「考えるサッカー」BACK NUMBER
「W杯でのスタイルが強豪への道」
福西崇史が確信した日本の戦い方。
text by
福西崇史Takashi Fukunishi
photograph byAsami Enomoto/JMPA
posted2018/07/04 17:30
ベルギーをギリギリまで追い詰めた日本の戦いは世界中から賞賛された。この道の先に、光は確かに見えている。
互いの考え方を一致させることが不可欠。
それとともに乾や香川、大迫といった足元の技術がある選手たちが近い距離感を取ることで素早いコンビネーションを発揮して、体格で勝る相手を混乱させていく。これはセネガル戦、ベルギー戦で乾が挙げたゴールが象徴的です。
相手にとって「どんな攻撃で来るんだ?」と迷わせるようなサッカーができたことは、日本サッカー全体にとって大きな自信になるはずです。
長年言われているところですが、相手の厳しいプレッシャーがある中でも高い技術力を出せるかなど、個の能力を引き上げていくことは今回も課題として突きつけられました。ただそれと同時に、攻守ともに犠牲心を持ち、ピッチに立つ全員がイメージを共有することが、チーム力に直結した。
大会通じて選手たちと西野監督らスタッフがミーティングを数多くこなし、お互いの考え方を一致させてチームとして団結する。これは日本にとって不可欠なものだと感じました。
今回のベルギー戦のように、強豪相手には守勢に回らざるを得ない局面も出てくるのは事実です。
それでも相手を慌てさせる攻撃の怖さを見せられた。それはとても大きな自信になるはずだし、今後も日本が世界の強豪相手に渡り合っていくために、今回のW杯での戦い方は指針となったはずです。
このスタイルを継続するのが大切。
W杯でひと区切りついた形になりますが、来年1月にはアジアカップが控えるなど、日本代表の強化は継続していく必要があります。その一方で長谷部が代表引退を表明するなど、世代交代が一気に進む可能性があります。
今回招集外となったメンバー、そして東京五輪世代の若手など新たな顔も増えてくるでしょうが、ロシアで示したスタイルを継続していく。それこそが日本が強豪国に追いつくための道ではないでしょうか。
(構成:茂野聡士)