福西崇史の「考えるサッカー」BACK NUMBER
「W杯でのスタイルが強豪への道」
福西崇史が確信した日本の戦い方。
posted2018/07/04 17:30
text by
福西崇史Takashi Fukunishi
photograph by
Asami Enomoto/JMPA
ベルギー戦、2-0とリードした瞬間は相手に焦りが生まれて、“いけるんじゃないか”という期待感が正直ありました。
しかしそこからベルギーはギアを一気に上げてきた。日本としてはスペインを破ったロシアやドイツ戦でのメキシコのように粘って活路を見出したかったですが、ベルギーの地力に屈しました。
とはいえベスト8進出に大きく近づいたのは事実。それだけに悔しさが残ります。
ベルギーに強豪国としての底力を感じたのは、リードされた場合のプランを明確に練っていて、選手たちがそれをピッチ上ですぐ実行したことです。
分かりやすいのが長身のMFフェライニの投入でした。スタメンのルカクに加えて、中央に190cm台の選手を送り込み、クロスで勝負をかけようという明確な狙いでした。
それに対してクロスの出し手となるアザールらは、日本のマーカーを細かく揺さぶるようなボールの動かし方から、ふわっとしたボールをゴール前に供給した。
フェライニのヘッドで2-2の同点にされたシーンは象徴的でしたね。そして後半アディショナルタイムの高速カウンターも、あれだけの体力がまだ残っているのか……と差を痛感しました。
ただ、日本が本当によく闘ったのは事実。同じ代表ユニフォームを着た人間として、本当に誇らしい90分間でした。
チームとしての戦い方が固まっていた。
今大会の日本を振り返ると、開幕2カ月前に西野監督が就任したという状況の中で、よくここまでチーム一体になれたなというのが正直な思いです。
親善試合では結果がなかなか出なかったこともあり、チームとしても不安を感じていたと思いますが、何よりコロンビア戦で勝利を手にしたことで、チーム全体が一気に「こう戦っていけばいいんだ」という確信を持って戦えるようになった。その自信を攻守両面で感じられました。