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武藤嘉紀が代表に滑り込めた理由。
駆け引きと、リラックスのススメ。 

text by

ミムラユウスケ

ミムラユウスケYusuke Mimura

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photograph byAsami Enomoto

posted2018/05/29 17:30

武藤嘉紀が代表に滑り込めた理由。駆け引きと、リラックスのススメ。<Number Web> photograph by Asami Enomoto

ドリブルのイメージが強い武藤嘉紀だが、実は空中戦も大の得意。点で合わせる能力は代表でも光るはずだ。

「ボールを奪われる気がしなかった」

 思い返せば、昨季の終盤も武藤は残留を決定づけるゴールを決めている。プレッシャーのかかる状況で、2年連続でゴールを決められたのにはしっかりとした根拠があった。

「意気込んでやっているけど、そこで身体がこわばりすぎず、頭だけは冷静に研ぎ澄ましておくことですよね。

 それが2年連続で、大事な試合でゴールを決められている要因かなと思います。今シーズン、最後の3試合はボールを奪われる気がしなかったですし、ゴールがとれる気がしました。今までのサッカー人生にないくらいに冴えていたというか、良かったかなと思います」

ドイツでも光る、クロスに合わせる能力。

 武藤の能力の中でも、現在の代表のなかでクロスに合わせる能力が頭ひとつ抜きん出ている。クロスに合わせる時に重要なのは高さではなく、ボールの落下点をいち早く見極めて、フリーになって飛び込めるかどうかだ。

 ドルトムント戦のゴールも、左サイドからのクロスに頭で合わせたものだった。武藤はその秘訣について、以前にもこのように語っている。

「得意ですね。やっぱり、ドイツの大きな選手は足が長いし、背も高い。なので一瞬の動き出しの早さだったり、自分が入る場所をペナルティーエリアで見つけないと点を取れない。

 高さで競ったとしても、相手がバランスをくずしたらいいけど、そのままだったら絶対に無理だから。大切なのは駆け引きですよね」

 その駆け引きを学ぶために、以前はバイエルンのトーマス・ミュラーや同じ代表の岡崎慎司のゴール集を見ながら勉強したこともあった。

 現時点では大迫勇也がFWのポジション争いではリードしているが、武藤のクロスにあわせる能力は本大会でも貴重な武器になるはずだし、2トップが採用されたとしても「マインツでは1トップも、2トップも両方やってきているので」と自信をのぞかせる。

【次ページ】 W杯を意識しつつも、力まずにプレーする。

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