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宇佐美貴史は西野監督の“スペシャル”。
地面にはいつくばったこの2年。 

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下薗昌記

下薗昌記Masaki Shimozono

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photograph byAsami Enomoto

posted2018/05/25 07:00

宇佐美貴史は西野監督の“スペシャル”。地面にはいつくばったこの2年。<Number Web> photograph by Asami Enomoto

日本代表のトレーニングで笑顔を見せる宇佐美貴史。西野朗監督にとっての切り札となれるか。

西野ガンバは縦ポンもカウンターもあった。

 西野監督が10年間、指揮を執ったガンバ大阪は、パスサッカーの印象が未だに根強い。ただマグロンという長身FWを生かした「縦ポン」もあれば、ハイプレスをベースにしたショートカウンターもあり、そして最後のシーズンとなった2011年には監督自身が「旧式のカウンター」と称するリトリートからのロングカウンターも採用した。

 西野ジャパンの輪郭は30日のガーナ戦でベールを脱ぐことになるが、いずれにせよ監督がかつての愛弟子に期待するのは、その言葉を借りれば「スペシャル(特別なもの)」である。

 ガンバ大阪を率いた当時、ゴール前での決定力はブラジル人ストライカーの個の力に頼らざるをえず、「ゴール前の決定力は、やはりスペシャルな選手が大事になる」と話していた。

「キックはもともと蹴れる方だと」

 ロシアの地でいかなる戦術を採用しようとも、相手ゴールをこじ開けるのはゴール前の個の力。「戦術がどうなるか全く分からないし、19歳の時とは僕も全くスタイルが違う状態だから」とあくまでも慎重な姿勢を崩そうとはしなかった宇佐美だが、自らの武器は自覚している。

「自分の武器としてキックはもともと蹴ることが出来る方だと思っていた。シュートなのか、クロスなのか、プレースキックなのか、サイドチェンジの長いボールなのか、色々な状況で全てを蹴り分ける自信がある」

 ロシア行きの23人に名を連ねれば26歳で迎える自身にとって初のW杯。ブンデスリーガ2部での実績に過度の期待を寄せるのは禁物だが、その「スペシャル」をいつ、どこで、どのように生かすのか――。

 西野監督にとって特別なカードであるのは間違いない。

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