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宇佐美貴史は西野監督の“スペシャル”。
地面にはいつくばったこの2年。
text by
下薗昌記Masaki Shimozono
photograph byAsami Enomoto
posted2018/05/25 07:00
日本代表のトレーニングで笑顔を見せる宇佐美貴史。西野朗監督にとっての切り札となれるか。
「僕らが一番サプライズでした」
光陰矢の如し。4年前は当落線上にさえいなかった日本屈指のシューターは、ガーナ戦に向けた日本代表27人が発表された18日、幼少から愛する古巣の練習グラウンドで自主トレに汗を流していた。
テレビの前で釘付けになる必要もなかったのは、フォルトゥナ・デュッセルドルフで積み上げてきた実績に自信を持っていたからに他ならない。
「入ったよ、と記者の人に言われて知ったけど、協会からも連絡はないし、マジでW杯の発表ってこんな感じなんや、と。サプライズだなんだとか言われますけど、僕らが一番サプライズでした」とまだW杯出場経験がない選手らしい初々しいリアクションを見せた。しかし、まだロシア行きの「パスポート」を手にしているわけではない状況だけに、過度に相好を崩すことなくこう言い切った。
「ここからが勝負。本大会のメンバーに加わって行けるのかどうかという挑戦が始まる」
デビュー当時に指導を受けた西野監督。
ハリルホジッチ前監督からもそのシュートセンスは認められていた宇佐美だが、新たに率いるのはガンバ大阪でデビュー当時に指導を受けた西野朗監督である。
「一番最初にお世話になった監督ですし、巡り合わせとしては凄く運命めいたものを感じる」(宇佐美)
しかし、まだ日本代表では定位置を確保しきれていない自らの立場を理解するフォルトゥナ・デュッセルドルフの背番号33は、かつての恩師の存在が自らへのアドバンテージになるとは思っていない。
「西野さんの存在が僕への追い風になるとは思っていない。西野さんがガンバでやっていた当時のサッカーをするのであれば僕にメリットもありますけど、(あの当時のガンバ大阪と)同じメンバー、同じ状況でなければ同じサッカーをするのは不可能。完全に横一線のスタートですね」