酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
内川も昔なら重圧を感じなかった?
2000本安打はいつ「打者の勲章」に。
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph byKyodo News
posted2018/05/21 11:00
あらゆる記録が、内川聖一の突出度を物語っている。その勲章の中に、2000本安打も加わった。
あと少しで涙を呑んだ選手も。
名球会発足以後、2000本安打への周囲の理解は格段に進んだ。しかし、あと少しのところで涙を呑んだ選手もやはりいた。
NPB史上最高のスイッチヒッターと言われた松永浩美は1997年、1904安打でダイエーを退団したが、2000本への思い立ちがたく、プロ野球マスターズリーグで99安打を打った。名球会は松永を「名誉会員」としたが、マスターズリーグが休止したこともあり、今は松永の名前は名球会の公式サイトにはない。
51人目の内川聖一の次には、5月16日の時点であと25本に迫ったロッテ、福浦和也が控えている。
42歳5カ月の福浦は、今シーズン中に達成すれば42歳11カ月で達成した和田一浩に次ぐ高齢記録になりそうだ。ロッテの井口資仁監督は、大台達成まで福浦に打席を与え続けると思われる。
反対に、昨年1865安打で巨人を退団した村田修一が、2017年も100安打14本塁打しながらNPBからオファーがないのは、獲得した球団や監督が、福浦と同様の配慮を迫られることを嫌ったという一面があるかもしれない。
「2000本安打」は「200勝」とともに、日本のファンに「野球の記録」の面白さを知らしめた。「名球会」の功績だと言えよう。
福浦和也の次は、1722本の阪神・福留孝介(日米通算ではすでにクリア)、1700本のオリックス・中島宏之だから、あと2~3年はなさそうだ。
そのときにも悲喜こもごものドラマが見られるに違いない。