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代わり映えしないリストの中で、
西野監督の“色”を象徴する2人。
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph byGetty Images
posted2018/05/22 07:00
人材過多なボランチのポジションで選ばれた青山の起用法に、西野監督の構想のヒントがある。
左ウイングの人材過多と、右の薄さ。
根本的なところで言えば、浅野と中島はキャラクターが異なる。浅野は日本で際立ったスピードを、中島は思い切りの良い仕掛けとシュートを持ち味とする。
また、中島が主戦場とする左ウイング(あるいは2列目の左サイド)では、乾貴士、原口元気、宇佐美貴史が選出されている。23人に絞り込むとしても、ひとつのポジションに2人が基本的な考えかただ。中島を選んだら、左ウイングは人材過多になってしまう。
4-2-3-1や4-3-3のシステムで、浅野は右ウイングや2列目の右サイドが主戦場だ。中島とはポジションがかぶらないことも、彼が27人のリストに入った理由だろう。
そのうえで言えば、浅野の立場も安泰ではない。右サイドには久保裕也がいるからだ。
所属クラブが公式戦を残していたため、久保は発表時点で27人のメンバーに入っていなかった。ただ、西野監督は追加招集も視野に入れており、戦力として計算している。
浅野のパフォーマンスが西野監督を満足させられなければ、久保との入れ替えは有り得る。あるいは、浅野に起用のめどが立ち、久保も加えたいということになれば、左サイドの3人のうちひとりが削られることになるかもしれない。
いずれにしても考えるべきは、23人の組み合わせで勝利の確率を高めることだ。
スタメンで出場する11人は90分間フル稼働できることが前提だが、途中出場の選手は時間限定で仕事ができれば役割を果たしたことになる。
最初から途中出場を想定された選手であれば、30分ほどの時間ならパワーを注げるというコンディションでも、メンバー入りにGOサインを出せる。そのあたりも考慮して、西野監督がどのような判断を下すかだ。
西野監督が“色”を出した2人。
27人のメンバーにハリルホジッチ監督と違う“色”を探せば、2人の選手に辿り着く。青山敏弘と武藤嘉紀だ。中島の選出を見送った代わりではないだろうが、彼らの選出は西野監督にとってチャレンジと言っていい。
'15年3月以来の代表入りとなった青山は、J1リーグで首位を走るサンフレッチェ広島のボランチである。西野監督は「現在の広島のサッカーを象徴しているキャプテンであり、間違いなく最高のパフォーマンスをしているひとり」と説明した。
ただ、ボランチは人材不足のポジションではない。西野監督が「引き続きキャプテンをやってほしい」と話す長谷部誠がいて、4年前のブラジルW杯に出場した山口蛍がいて、アジア最終予選の終盤に定位置をつかんだ井手口陽介がいる。
ボランチを含めた複数ポジションをこなす選手として、柴崎岳、大島僚太、遠藤航、三竿健斗も選ばれている。そして、彼らはハリルホジッチ前監督の指揮下でも代表でプレーしてきた選手たちだ。