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ホンダに巡ってきた千載一遇の好機。
「勝てる」レッドブルとの提携へ。
text by
尾張正博Masahiro Owari
photograph byGetty Images
posted2018/05/05 09:00
2007年からルノーと組んでいるレッドブルだが、近年ルノーとの関係が悪化していることも背景にある。
27年ぶりに勝てるチームと組める。
ルノーは自らもチームを率いてF1に参戦しているため、レッドブルが使用しているルノーのPUは、ワークスではなくカスタマー。ワークスPUとは、車体とのパッケージを考えて開発しているもので、ルノーのほかメルセデスとフェラーリもその体制をとっている。
すでに車体性能でメルセデスやフェラーリを上回ると言われているレッドブルが、自分たちの車体性能を考慮したPUを手に入れられれば、さらに強くなることは言うまでもない。
もちろん、ホンダにもメリットはある。それは27年ぶりに勝てるチームと組むことだ。
昨年までの3年間、マクラーレン・ホンダが成功しなかった最大の原因がホンダのパフォーマンス不足なのは、疑う余地がない。
だが今年、ホンダが復帰後最高位となる4位をトロロッソと組んで獲得したことや、ルノーPUに替えたマクラーレンがいまだ勝利から遠い場所を走っていることを考えると、近年のマクラーレンにも勝てる力が備わっていなかったことは事実だ。
政治的な判断が時には重要。
もちろん、今もPUマニュファクチャラー4社の中で後塵を拝しているホンダが、今後も技術的にPUの性能向上を目指さなければならないのは当然のこと。だが、F1は技術だけの戦いではない。
PUは車体に搭載して、優秀なドライバーに運転してもらって初めてその性能を発揮できる。それには、勝てるチームと組むという政治的な判断が、重要になるときもある。
振り返ると、2000年から'08年までの第3期F1活動が不完全燃焼に終わり、今回の復帰後のF1活動が期待を下回っているのは、いずれも勝てるチームと組んでこなかったから。
'80年代から'90年代にかけてのホンダの第2期F1活動がF1の歴史に残る大成功を収めることができたのも、勝てるチーム、勝てるドライバーと組んだからである。