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サファテ離脱で5年目ドラ1の出番。
馬原孝浩の14番を継ぐ加治屋蓮。 

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田尻耕太郎

田尻耕太郎Kotaro Tajiri

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photograph byKyodo News

posted2018/04/25 08:00

サファテ離脱で5年目ドラ1の出番。馬原孝浩の14番を継ぐ加治屋蓮。<Number Web> photograph by Kyodo News

宮崎県立福島高からJR九州を経て、ドラフト1位で'14年ソフトバンク入団。'16年に一軍初登板を果たし、昨季は2試合のみ登板。

選手層が厚いようで、そうでもない懸念。

 今年のホークスにおいて最も恐れていた事態が、主力選手の故障離脱だった。

 開幕前のオープン戦。チームの底上げを図るべく多くの若手選手が積極的に起用されたが、残念ながら彼らは期待外れに終わった。5勝10敗1分、球団12年ぶりの負け越し。また、49年ぶりの8連敗もあった。

 主力と若手の差があまりに明白になった。選手層が厚いようで、じつはそうでもない。主力が居なくなった時、一体誰がカバーを出来るのだろうという不安しかなかった。

 だが、楽しみな投手が台頭してきた。

 背番号14の右腕、加治屋蓮である。

8試合連続無失点、5年目で初ホールド。

 4月22日のファイターズ戦で今季10試合目のマウンドに立った。この日のホークス投手陣は総崩れ状態で11失点10四死球と散々だったが、8回に登板した加治屋だけが打者3人をわずか9球で抑えてみせる“違い”を見せてくれた。ここまで失点したのは1度のみで、この時点まで8試合連続無失点を継続している。

 工藤公康監督の興味深い起用もあった。12日のファイターズ戦だ。2対0とリードして迎えた8回の守り。万全のチーム状態ならば迷わず岩嵜がマウンドに送られるのだが、この時すでに不在。そこで指揮官は「1人1殺」の継投策に打って出た。

 最初の左打者を嘉弥真新也が抑え、次の右打者に対しては森唯斗……と思っていたが、ここで加治屋の名前が告げられたのだ。

「競った展開で出ていくことがなかったので緊張しました」と振り返ったが、前日の試合で一発を放っていた大田泰示を150キロ直球で見逃し三振に仕留める堂々たるピッチング。次のモイネロにきっちりバトンを渡した。

 億の年俸を稼ぐ「勝利の方程式」の森に、少なくともこの日は勝ったのだ。チームも逃げ切って勝利。加治屋はプロ5年目にして初ホールドを記録したのだった。

【次ページ】 故障に泣いたが高速フォークで復活。

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