来た、見た、書いたBACK NUMBER
ガンバ、7戦目の今季リーグ初勝利。
クルピ流チーム作りの魅力と懸念。
text by
下薗昌記Masaki Shimozono
photograph byJ.LEAGUE
posted2018/04/13 17:00
世代交代を進めつつも、勝ち点を積み重ねる。ガンバ大阪が手に入れた1勝と笑顔は、その難しさを感じさせる。
セレッソ時代よりサイド攻撃を重視。
「もうちょっとで勝てる」という東口の言葉は、決して強がりではなかった。磐田戦では課題だったチームが目指す方向性が明確に見て取れた。昨季2敗を喫した際には最終ラインからのロングボールに手こずったこともあり、立ち上がりからハイプレスを繰り出した。
「できる限り高い位置でボールを取りたい、というチーム全体の考えが統一できていた」(遠藤)のだ。4分の先制点につながるCKも、連動したプレスから相手ゴール前に進出したマテウスが得たものだった。
足下のプレーに難がある藤春廣輝が負傷したこともあり、パスワークにも絡める初瀬亮が神戸戦に続いて左SBで先発したのも大きい。ボールの預けどころが増えると、やはり遠藤がボールに絡む回数も増えていく。
攻撃では自由を重んじる指揮官だが、セレッソ大阪時代との違いは、よりサイドからの攻めにこだわっていることだ。近年のブラジルサッカーではブロックを形成し、堅守速攻のチームが幅を利かせている。
昨季まで母国で指揮を執ったクルピ監督は、改めてサイド攻撃の重要性を認識したという。
「攻撃に関しては迫力を出せている場面もあるし、相手のゴール前で決定的な場面も作れている」
そう語った倉田秋は、明らかに攻撃面での手応えを感じている様子だが、無冠に終わった過去2シーズンとの違いは、頼れるエースFWが台頭したことに尽きるだろう。
遠藤も認めるファン・ウィジョの決定力。
遠藤は磐田戦後にこう言うのだ。
「決めるべきところで決めるFWがいるのは大きい。チャンスで決めてくれると後ろが楽になる」
引き分けに持ち込まれてもおかしくなかった磐田戦は、後半終了間際にカウンターから右足を振り抜いたファン・ウィジョの貴重な追加点で勝負あった。得点ランクトップタイとなる通算5点目を決めた韓国代表FWの一撃で、ガンバ大阪は2-0で勝ち切った。
一昨年は2ケタ得点者がゼロ、昨年は辛うじて長沢駿が10点をマークしたものの、絶対的なストライカーの不在が長谷川ガンバの悩みの種だった。
「去年までは力一杯シュートを蹴っていたが、今年はコースを突く意識を持っている」(ファン・ウィジョ)
日々の居残り練習で、確実にシュート精度の意識を高めているファンだが、磐田戦では長沢が左腿を負傷。もはや計算が立つFWはファンのみという苦しい状況でもある。