話が終わったらボールを蹴ろうBACK NUMBER
三竿健斗「簡単には解決しない」。
鹿島が悩む昨季終盤からの停滞感。
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byGetty Images
posted2018/04/10 16:30
中盤のアンカーとして期待が集まる三竿健斗。鹿島では試行錯誤の時を迎えているようだ。
シュートに対する意識が高まれば。
帰国後に風邪を引いたこともあり、この試合が復帰戦となったが、ボールを自ら刈り取り、攻撃ではパスを左右に振り分け、攻守にほとんどミスがなかった。
あえて課題を挙げるとすれば、シュートを1本も打たなかったことぐらい。
「シュートは、ずっと狙っていたんです。前半1回打てるチャンスがあったんですけど、自分の中で周囲を使いながらという意識があったので……。その後、ボックスの角でサイドハーフが持った時にボールを要求したんですけど、タイミングが合わなかった。でも、イメージを持っていれば、またチャンスがくると思います」
ここぞという時に効果的なシュートを打てるのは、より怖いボランチになるための条件の1つだ。湘南戦のようにいい形を作りながらも決められないのなら、ミドルやロングシュートで攻撃の形を変える必要性があるからだ。
チーム全体について聞かれると表情が。
代表から戻ってきてから100%ではないにしろ、自分のイメージ通りのプレーがいい感覚で出来ている。それもあってか三竿の表情は比較的明るかった。だが、チームのことになると途端に表情が曇った。
「シーズン通して、いつもいい時ばかりじゃない。その時期が昨年はシーズン終盤に来て、今年は今がそういう時期だと思います」
三竿の言葉からは、課題が解消されていないことを感じさせる。特に左サイドハーフのレアンドロが中に入る傾向があり、左サイドバックの山本修斗の前に広大なスペースが空いていた。攻撃は中央から右サイドに偏り、相手に読まれた。結果的に得点をなかなか奪えず、逆に左のスペースを突かれることが増えて失点を重ねた。
湘南戦でも似た状況が散見された。相手の先制シーンでは、守備陣が右から中央に寄り、左サイドには大きなスペースが広がっていた。そこから岡本拓也にフリーでクロスを入れられ、オウンゴールを招いたのだ。
試合後、湘南の選手は「相手の攻撃は真ん中だけで恐さはなかった」と話していた。押し込んでいたように見えた鹿島だったが、相手に攻撃を見切られていたのだ。