話が終わったらボールを蹴ろうBACK NUMBER
三竿健斗「簡単には解決しない」。
鹿島が悩む昨季終盤からの停滞感。
posted2018/04/10 16:30
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph by
Getty Images
地を這い、糸を引くような美しいパスだった。
J1第6節の湘南ベルマーレvs.鹿島アントラーズ、前半7分でのことだ。オウンゴールで先制された鹿島は、その直後にカウンターを仕掛ける。左サイドでボールを受けた三竿健斗はフリーとなり、前を向く。
戻り切れていない相手の陣地にはスペースがあり、前に走り込む金崎夢生、土居聖真、そして鈴木優磨へのパスコースが見えた。
「その中で、あのコースが空いているのが正直、びっくりした。浮き球だと時間的に相手が戻ると思ったんで、できるだけ早く優磨に届けようと思って」
“決めてくれよ”と言わんばかりの適度なスピード、絶妙なタイミングで、グラウンダーのパスが鈴木の足元に入った。鈴木は倒れ込んできたGKの動きを見て、浮かしたシュートで同点ゴールを決めた。
「イメージ通り。今、いい感覚を持っていると思います」
三竿は、小さな笑顔を見せた。
日本ではプレッシャーを感じなくなった。
ここに来ての“いい感覚”は、3月の日本代表ベルギー遠征で得たものだという。
マリ戦、三竿は後半15分から長谷部誠に代わってプレーした。1点ビハインドの状態で攻撃的にプレーしたが、アフリカ勢特有のスピードやフィジカルの強さに最初は戸惑ったという。だが、後半アディショナルタイムに右サイドからクロスを上げて中島翔哉の同点ゴールをアシストした。
続くウクライナ戦では後半36分に途中出場。欧州中堅国のプレッシャーの強さや球際の激しさを肌で感じたと言う。
「代表で2試合出たんですが、プレッシャーとかスピードとかは日本にはないものだった。そういうのを経験して戻ってきて、その感覚が今も残っている。なので日本ではあまりプレッシャーを感じなくなっています。そういう意味ではベルギー遠征で、いい感覚を持って帰って来れたかなと思います」