ROAD TO THE DERBY 2018BACK NUMBER
歩むは父オルフェーヴルと同じ道。
エポカドーロは皐月賞の主役になるか?
text by
平松さとしSatoshi Hiramatsu
photograph byKeiji Ishikawa
posted2018/03/28 07:30
父オルフェーヴルよりも一回り大きな馬体に、どれほどの力を秘めているのだろうか。春に間に合ったエポカドーロに注目だ。
掴んだかと思えた勝利の女神の前髪が……。
道中は少々オーバーペース気味に逃げたコスモイグナーツから離れての2番手。実質的に後続を引き連れて逃げるような形で4コーナーをカーブすると、直線、ラスト200mの地点でついに先頭に立った。
そして、一度は完全に抜け出す素振りをみせた。
「ステルヴィオが少しもたもたする感じにみえたから正直、『勝てるかな?!』と思いました」
指揮官はレース後に当時の心境をそう語った。
一方、手綱を取った戸崎は、その時鞍上で次のように思っていたと言う。
「乗りやすい馬であることは前走で分かっていたけど、さらにどっしりしてきていたので、イメージ通りの良い感じで運べて自分の競馬はできました」
あと100mを切ってもまだ先頭。ステルヴィオが猛然と追い上げてきたものの、残り50mでもまだ先頭の座は譲らない。掴んだかと思えた勝利の女神の前髪は、しかしゴール寸前でするりとその指の隙間から抜け落ちた。
「負けたと思いました」
ライバルであり1番人気だったステルヴィオのパートナー、C・ルメールにそう思わせるほど、粘りに粘ったが、結果はハナ差の2着。文字通り惜敗だった。
折り合って自分の競馬ができるか。
このレース、前半1000mの通過ラップは59秒6。もっともこれは2番手以下を大きく放して逃げたコスモイグナーツのみの時計である。2番手のエポカドーロはそこから2秒近く遅れていたから彼にとっては決して速い流れではなかった。くわえて前と離れたことで下手に追いかけようともしないで折り合えたことも良かった。変なプレッシャーがかからずに済んだのだ。
つまり今後も同馬にとってはどのくらい自分の競馬ができるか? が大きなカギになりそうだ。