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次の大関を昇進速度から予測する。
歴史的な速度で駆け上がる力士も。 

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西尾克洋

西尾克洋Katsuhiro Nishio

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photograph byKyodo News

posted2018/02/26 07:00

次の大関を昇進速度から予測する。歴史的な速度で駆け上がる力士も。<Number Web> photograph by Kyodo News

小結・貴景勝(右)は十両昇進からまだ6場所。このまま一気に大関までかけ上げる可能性も十分。

大関昇進時の年齢で3つに分けると。

 まず、大関に昇進する力士を分類してみよう。

 大関昇進時の年齢を見てみると、大まかに早熟(20歳~23歳)、平均(24歳~27歳)、晩成(28歳~31歳)という3つのカテゴリーに分けられる。

 年間6場所の現在と同じ形式になって以降に入門した49人の大関昇進者を見ると、早熟は21人、普通は19人、晩成は9人と、年齢を重ねると厳しくなる傾向である。なお、30歳を越えての昇進は今のところ増位山と霧島、琴光喜の3例だ。

 もう1つのデータを見てみよう。大関昇進力士がそれまでの地位に留まった場所数の平均だ。これを中卒、高卒、大卒というカテゴリーで分類すると、興味深いデータが出てきた。

 どの学歴でも、十両昇進までの出世は非常に早いのだ。なお、高校中退は中卒、大学中退は高卒として計上している。

共通点は、十両昇進までの早さ。

 デビューから十両昇進までにかかった場所数の平均値は、中卒が23.9場所、高卒が11.4場所、大卒が2.8場所だ。

 言い換えると、中卒なら19~20歳、高卒なら20~21歳、大卒でも22~23歳までには十両に昇進している。面白いのが遅咲きと言われる力士であっても、十両昇進自体は早いのだ。

 代表的なのは千代の富士である。26歳での横綱昇進は遅かったと言われているが、十両昇進は19歳だった。30代で大関に昇進した高卒の増位山ですら、十両昇進まではたった13場所で到達しているのである。

 例外として中卒の霧島が幕下で32場所を過ごし、関取に定着するまで8年掛かったスロー出世だが、それでも23歳である。大関昇進力士の世界では、23歳での十両は極めて出世が遅いということを覚えていただきたい。

 現在、この条件を満たしている幕内力士は、中卒だと阿武咲、輝、千代の国、琴勇輝。高卒だと貴景勝、栃煌山、逸ノ城。

 1年程度の誤差を許容すると阿炎、大栄翔、栃ノ心も含まれる。大卒の場合は付け出しデビュー以外ではこの指標を満たせないが、豪風と遠藤、御嶽海はクリアしている。

【次ページ】 大相撲の歴史を創ってきた早熟の天才たち。

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