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次の大関を昇進速度から予測する。
歴史的な速度で駆け上がる力士も。
posted2018/02/26 07:00
text by
西尾克洋Katsuhiro Nishio
photograph by
Kyodo News
栃ノ心の6年ぶりの平幕優勝で幕を下ろした大相撲初場所。
2013年に負った大怪我をじっくり治す決断をし、幕下55枚目という地位まで番付を落としながらも新たな相撲を構築して大輪の花を咲かせたことは、多くの観衆の心を掴んだ。
だがその優勝には、上位陣の不調という側面があったことも事実だ。
まずは横綱だ。
稀勢の里が先の優勝から精彩を欠き、白鵬も張り差しとカチ上げのない相撲の醸成に苦しみ、進退をかけて臨んだ鶴竜も終盤に4連敗と大きく崩れた。
大関に目を向けても、高安は中盤戦までに3敗を喫して優勝争いからほぼ脱落、そして豪栄道は8勝7敗。
横綱にも大関にも、絶対的な存在がいないのだ。
先の問題で日馬富士は引退し、照ノ富士は膝の不調から立ち直れず来場所を十両で迎えることになった。少し前には琴奨菊が大関から陥落している。栃ノ心の重ねた努力は、奇跡のようなタイミングで結実したわけだ。
横綱大関が減るタイミングがある。
実は過去にも、横綱大関の陥落や引退が重なるのと同じタイミングで、大関昇進力士が現れてきた経緯がある。
例えば2010年から2012年にかけて朝青龍、千代大海、琴光喜、魁皇が土俵を去る中、把瑠都、琴奨菊、稀勢の里、鶴竜が大関昇進している。
ほかにも1991年から1993年に掛けて千代の富士、北勝海、大乃国、旭富士が引退し、霧島が大関陥落する中、曙が横綱に、貴ノ花、若ノ花が大関に昇進している。
横綱と大関が減るのと同じタイミングで新たな横綱大関が誕生する傾向は、過去のデータからも見て取れる。
この1年あまりで1人の横綱と2名の大関がいなくなるという地殻変動が既に発生し、更なる動きも予想される状況であることを考慮すると、近い将来に新しい大関が生まれる可能性は極めて高いのではないかと思う。
そこで、今回は「次の大関は誰か」を検証したい。