第94回箱根駅伝(2018)BACK NUMBER
圧倒的な層の厚さが生んだ4連覇。
青山学院大学に入った「スイッチ」。
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph byKyodo News
posted2018/01/05 12:00
盤石の強さを見せた青学大の優位は次回大会以降も続いていきそうだ。
メンバーに入るための激しい「部内競争」。
今回、青学大の4連覇を決めたのは、7区で区間新記録をマークした林の走りだった。往路を制した東洋大に対し3分28秒まで差を広げて総合優勝を確実なものとした。
しかもタイムは1時間2分16秒の区間新記録。設楽悠太(東洋大→Honda)が持っていた記録を16秒も更新する大記録である。
林は前回の箱根駅伝でも16人のメンバーには入っていたが、箱根路を走ることは叶わなかった。おそらく、他大学であれば主要区間に起用されていただろう。今季に入ってからも出雲駅伝、全日本大学駅伝では出番がなく、メンバーに入るためには、実力で「決定打」を放つしかなかった。
そう考えるのは林だけではない。みんながそうだ。必然的に「部内競争」は激しくなり、レベルが上がっていく。
原監督はいう。
「監督が四六時中管理しても、強くなりませんよ。学生たちが部員同士の競争の中で自主的に強くなっていく。各自ジョグのスピードを上げたり、食事に気をつけたり。それが本当の『強化』じゃないですかね」
世田谷246のトップ10に5人の選手が。
部内競争の激しさは、世田谷246ハーフの結果を見ても明らかだった。トップ10に林だけでなく、5人の選手が入っていたのである。
1 エゼキエル(サンベルクス) 62分49秒
2 マイケル(スズキAC) 63分23秒
3 林 (青学大・3年) 63分28秒
4 湊谷(東海大・3年) 63分41秒
5 吉田(青学大・2年) 64分02秒
6 神林(青学大・1年) 64分35秒
7 橋間(青学大・3年) 64分38秒
8 近藤(青学大・4年) 64分48秒
9 名取(東海大・1年) 64分51秒
10 白頭(駒大・3年) 64分51秒
箱根駅伝を走った林、橋間貴弥、近藤修一郎はここで結果を残していたことが分かる。一方で吉田祐也、神林勇太という下級生は9区の近藤、10区を走った橋間にはタイムで先着しており、同等の力があったことを証明している。おそらく、下級生がどこかの区間を走っても大きなくぼみをつくることはなかっただろう。
それだけ青学大の選手層は厚く、林はその象徴的な存在だといえる。