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川淵三郎が相撲界の現状に物申す。
「協会はその日暮らしをしている」
text by
松本宣昭Yoshiaki Matsumoto
photograph byKiichi Matsumoto
posted2017/12/15 16:00
僕はみんなに好かれようと思ってやっていない。
池田「川淵さんは元サッカー選手ですし、サッカーに関しては競技者目線がすごく強いですよね。一方で、Bリーグやトップリーグ連携機構に外部から人を連れてくるときに、競技に関しての理解度はどれぐらい必要だと思っていますか?」
川淵「それは理解度がなくても大丈夫。だって、横浜DeNAベイスターズにとっての池田さんがそうであったように、僕もそうでしょ? バスケットに行ったときに、『バスケットボール協会(JBA)が、サッカー協会に乗っ取られる』なんてことも言われたけど、そんな馬鹿なことがあるわけない。だから、JBAの理事会でも、理事や各チームの社長と、最初にガンガンやり合った。
『僕はみんなに好かれようと思ってやっていない。別にバスケットのルールも知らないし、強化云々も知らない。それは専門の人がやればいい。僕がみなさんに要求しているのはガバナンスなんだ』と。『ガバナンスの強化はバスケットボールの経験がなくたってできる。僕はサッカー界で18年ぐらい、日本サッカー協会とJリーグを運営してきた。サラリーマンとしても30年、いろんな勉強をしてきた。この2、3週間、日本で僕よりもバスケットのことを真剣に考えた人はいないというぐらい考えた。僕より考えた人がいるなら手を挙げなさい』と言ったら、誰も手を挙げなかったね」
池田「僕だったら挙げますけどね(笑)」
バスケットを知ることよりもアイディアを。
川淵「そういう人が出てきたら、『お! ちょっと来い』と言って話ができるから、それはそれでいいんだよね。自信を持っているから、手を挙げる人がいてもオタオタすることはない。自分として進むべき方向がはっきりしているから。
それとやっぱり、しがらみがないのが一番。普通は『ここを変更すると、あそこが』って、いろんな人の顔が思い浮かぶでしょ? 僕は顔が出てこないもんね。そう考えると、やっぱり専務理事とか事務局長は、しがらみのない人がやったほうがいい。別にバスケットのことを知らなくても、事務局の運営をきっちりやることができて、いろんな工夫、今まで考えたことがなかったようなアイディアを出していくことが重要だから。ただし、1人でやると孤立無援になるから、いかにうまく周りと協力し合うか。優秀な部下を連れてきたり、その組織の中にいる信頼できる部下を見つけて、一緒にやっていくことが大事だね」