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川淵三郎が相撲界の現状に物申す。
「協会はその日暮らしをしている」
text by
松本宣昭Yoshiaki Matsumoto
photograph byKiichi Matsumoto
posted2017/12/15 16:00
貴乃花親方、協会に対しての“助言”。
川淵「貴乃花親方は『相撲は土俵がなければできない』という考えじゃなくて、僕らが小さい頃に地面に円を描いて取っ組み合いをやっていたようなことこそ、『相撲の原点だ』と言っているんだと思います。僕も相撲の本を読んで勉強したことがあるんだけど、相撲の仕組みってよくできているなと思う。給金直しとか、十両からの給料制度だとか。
ただ、親方と部屋と協会との関係で、『昔のままでいい』という意識がありすぎるのも問題だね。やっぱり変えていかなきゃいけない部分はあって、貴乃花親方は『いろんなところを変えていきたい』と言っているんだけど、それを明確な形でみんなに理解してもらわないと。親方たちもそれに同意して、改革の方向に進んでいきましょうとは、まだなっていないよね」
池田「どこが変わらなきゃいけないのかが、全く見えないですよね」
川淵「そういう意味では、貴乃花親方としての考えは持っていて、お茶屋制度や親方株の問題とか、いろんな細かいところまで彼は考えているんだけどね。それが結局、昔からあるものとの兼ね合いにおいて、ほとんど否定されている。彼は僕と対談した時に『ちゃんと変えるまで50年かかります』と言っているんだよ。それぐらいの覚悟でやっていけば変わるかもしれないけど、いかに自分の共鳴者を作っていくかが勝負だね」