ゴルフボールの転がる先BACK NUMBER
松山英樹、ゴルフコース監修に本腰。
日本には純粋に難しい所がない?
text by
桂川洋一Yoichi Katsuragawa
photograph byYoichi Katsuragawa
posted2017/12/13 08:00
風光明媚な太平洋クラブ御殿場。そこに松山の経験が注入されれば、さらに世界へと誇れるコースとなる。
宮里優作が口にした「ロケーション負け」。
最終戦の日本シリーズJTカップで、小平を逆転し賞金王となった宮里優作も、来年はまず春先の海外進出を控える。大学卒業後の渡米経験もあり、コース設計については「僕は将来、監修などを“やりたい派”です」とアピールした。
日本と欧米のコースの差異を生むものについて、宮里は最初に「ロケーションの違い」を挙げた。「日本の選手は海外に行ってまず“ロケーション負け”するんです。ショットを打つ時、ターゲットのエリアは、本当は広いんだけど狭く見える。危険な池が近く見えたり、半島になっていたりして、打つべきコースが限定されている」
1打ごとに、判断の“押し引き”が求められるのがゴルフだが、常に難所を避けていればいいという考えは、プロの世界では通用しない。いつかは攻めに転じなければならないが、宮里は「それが不思議なもので、最初は逃げていくんだけど、そういうホールが連続すると慣れてきて、大丈夫になる」という。
プレーしながら湧き上がってくる恐怖心を処理しながら攻略の糸口を探し、成功と失敗を繰り返していくうちに、選手は「レベルが上がっていく」のだ。
「良いコースに共通するのは理不尽な難しさじゃない」
フェアウェイの傾斜、グリーンの形状によって、ゴルファーはレベルが高くなればなるほど、打つ球筋を変える必要がある。
例えばグリーンが左に下っていれば、右回転の打球(右打ちならフェードボール)の方が、ボールを止めるのに有効だし、そうでなければ止まらないのが、トップツアーのグリーンの硬さ、速さである。
「ハザードの数、デザインがそうさせる。海外にはスキルアップさせるようなコースが多い。ミドルアイアンでこういう球を打ちなさい、スピン量も考えなさいというのが伝わってくる」。ロケーションからのメッセージを逐一受け取り、コースと対話しながら選手は自分の課題を見つけていく。
宮里もこう続けた。「良いコースに共通するのは“理不尽な難しさ”じゃない。ごまかしが利かないところにある」と。