藤田俊哉の日欧蹴球比較論BACK NUMBER
誰が日本サッカーを次のステージへ?
藤田俊哉が考える「次世代」の条件。
text by
藤田俊哉Toshiya Fujita
photograph byGetty Images/Toshiya Fujita
posted2017/11/28 11:30
欧州で日本人選手がプレーすることは普通になった。しかし、「次世代」の到来を待ちわびるのもサッカーの楽しさなのである。
体格は変えられなくても、デュエルへの対処法はある。
日本人選手が体格に勝る欧米の選手に対して真っ向勝負を挑み、勝つことができれば言うことはない。だが現時点でそれを望むのはあまり現実的ではない。
イングランドに来て、こちらの選手達の体格と彼らのプレースタイルを間近で見て、その思いは強くなった。私自身、激しいプレーへの免疫はオランダ時代につけたつもりでいたが、イングランドの激しさはそれをはるかに上回る。なかでも大きい選手を揃えるプレミアリーグは特別だ。
身長189cmの吉田でも大きくは感じないほど、体格、骨格に大きな違いがある。彼らと真っ向勝負をしてもまず勝ち目などない。ただただケガのリスクが増えるだけだろう。実際、ここ数日でU-23やU-18、U-16の公式戦を見たが、ケガで退く選手をたくさん見た。
しかしそんな状況であっても、現代フットボールでは日本人選手もデュエルと向き合って行く必要がある。
そのためにはまず、本場のデュエルを若いうちに体験してもらいたい。なによりもまず、慣れることが重要だからだ。体験するうちに自らの対処法を習得できるだろうし、デュエルに勝てる体勢やタイミングもつかめてくる。ここは勝てそうにないというタイミングがわかれば、そのポイントへ闇雲に入ることはなくなる。
弱さばかりが目立つシーンが減り、スマートに対処できるようになるはずだ。そのステップを踏んで適応していければ、日本人はデュエルに弱いというレッテルもいずれはがせるだろう。
イニエスタと日本人の差は、パワーではない。
現にヨーロッパでは、日本人と同じような体格の選手が立派な活躍をみせている。
それはなぜか。シャビやイニエスタ、チアゴ・アルカンタラらは、この状況を生き抜く術を幼い頃から自然と身につけてきているからだ。
だからこそ自分が戦えるポイントをつかみ、体格に勝る選手達にパワー負けすることなくプレーできる。
乾貴士や香川なども、ボールが自分のコントロール下にさえあれば誰よりも優位に立ちプレーしている。それはボールキープ時には体格が関係しないポイントやタイミングがあるから。彼らはそれを習得している。もう1つバランスのよい走り方を身につければ、体格差があっても競り合いで優位に立てる。これは私の選手時代に学んだことでもある。