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「妄想ひとりドラフト」2~4位編!
さんざん困った挙句選んだのは……。
posted2017/11/07 07:00
text by
安倍昌彦Masahiko Abe
photograph by
AFLO
“1位”は広陵高・中村奨成捕手に確定した。
私がドラフト時期になると毎回繰り広げる「妄想ひとりドラフト・現実版」。前回に続いて、2位以下の指名に進もう。
「正直、2位でなくても……」。そんな印象の選手は何人かいた。誰が……とは言いにくいが、おそらくチーム構成上、そういうタイプの選手がどうしても必要だったのだろう。
「ドラフト」は決して実力番付でなく、人気投票でもない。そのことを物語る指名の現実であろう。
ウチの2位は、なんの迷いもなく、この選手でいく。
青藍泰斗高・石川翔投手(179cm81kg、右投左打)だ。
9月にピッチングを受けている。
まあ、とんでもないストレートを投げる。
すばらしい逆スピンに、捕球の瞬間アッと驚くボールの破壊力。芯で捉えても押し返されるホームベース上の威力。タテのスライダーにカットボールはプロでもすぐ勝負球になる。速球以上の腕の振りだから、変化点がものすごく打者に近い。
石川がなぜ2位まで残ったのか。理由を考えた。
石川が、なぜ2位まで残っていたのか、それがわからない。理由を考えてみた。唯一、彼に不安があるとすれば、高校3年間ケガと故障が多かったこと。石川がもし故障なく投げまくっていたら、甲子園の一度や二度、きっと出ていたに違いない。そして、今夏の“中村奨成クラス”の大ブレーク。1位指名で2、3球団重複していた。
そんな“絵”がくっきりと見えている。
故障の多かった石川を1位で指名したとする。
万が一、2月のキャンプで「痛いんですが……」となったとする。各紙いっせいに「ガラスのエース、早くもリタイア!」と、えらいことになる。
ならば2位で入っておけば、メディアのマークも格段にゆるくなるはず。石川翔ほどの“超逸材”が2位まで残っていた理由、結構、そんなところなのではないか。
本人、悔いが残りまくりの3年間を懲りていると語った口ぶりと表情を信じたい。それ以上に、これだけの逸材を2位で獲得できた幸運を神さまに感謝しなければ。故障さえしなければ、5年でエース格になっている。