マスクの窓から野球を見ればBACK NUMBER
「妄想ひとりドラフト」2~4位編!
さんざん困った挙句選んだのは……。
text by
安倍昌彦Masahiko Abe
photograph byAFLO
posted2017/11/07 07:00
夏の甲子園・県大会では快打を連発した増田。ムードメーカーかつ野球上手な男を、ほっとくことはできない!
この手で受けたボールの体感を信じて、本田仁海。
現実のドラフトでも、このへんの順位になると、「なるほどこの選手、まだ粗いけどエンジンだけは大きいわ……」などと、いかにもその球団の好みそうな特徴的な選手が指名されるのも、よくある事実である。
ならば、誰なんだ。ここは長考一番、ほんとに困った。
さんざん困って迷った末に、この手で受けたボールの体感を信じて、4位は星槎国際高湘南・本田仁海投手(181cm73kg、右投左打)だ。
ドラフトの数日前に受けている。そこで驚いた。
夏のボールとまるで違っている。ホームベース上の“生命力”がすばらしい。
球道終盤、さあそこから伸びてこい! と思うそのあたりからの速球の勢いがものすごいことになっている。伸びる、食い込む、カッと外にキレる。テークバックで上手にボールを隠せる技術に、ジワ~っとタメを効かせるタイミングの難しさも打者を苦しめるはずだ。
高校野球を退いてもまだ現役並みの練習を続ける旺盛な意欲と、実際に夏とは“別人”の成長度。ほめ言葉を並べたらキリがない。
感心から感動に変わった、日立製作所・菅野。
4位で欲しかったもう1人とは、日立製作所・菅野剛士(24歳、171cm83kg右投左打、明治大)。
実は、高山俊(阪神)のあとを打っていた明治大当時から、確かなバッティング技術を持った選手だなぁ……と感心していた。
社会人の2年間で、すばらしい選球眼を磨いてきた。菅野は出塁したい場面ではストライクとボールを見分ける選球眼を発揮してしぶとく粘り、失投を捉えるか四球をもぎ取る。
逆に、タイムリーがほしい場面では、自分のストライクゾーンで投球を待って、打つべきボールと打ってはいけないボールとの選別を行い、「来た!」と思えばファーストストライクから仕掛けて痛打にしてしまう。そんなすばらしい“実戦力”の持ち主に成長した。
学生当時、感心していた選手が、社会人の2年で「すごいな……!」と感動する選手に。
私は、“ここ”だと考えている。
プロで働ける選手と、そうでない選手の分かれ目。
感心させてくれる選手は結構いるが、見ているこちらを感動させてくれる選手はなかなかいない。そのプレーで感動させてくれる選手こそが、プロでしっかり仕事のできる選手。私はそう区別している。