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“ガンバらしい攻撃”は消えたのか。
長谷川健太体制、5年間の栄光と影。
text by
下薗昌記Masaki Shimozono
photograph byJ.LEAGUE PHOTOS
posted2017/10/27 10:30
ボールを持って崩すか、奪って即座にゴールを目指すか。形は違えど、長谷川体制でも攻撃の迫力は感じさせるものだった。
「ランサッカー」の消耗を感じさせた2年連続無冠。
2年連続の無冠に終わった今季、チームが「ランサッカー」に徹した4月21日の大宮アルディージャ戦では鋭いショートカウンターからゴールを量産し、6-0で圧勝。連勝を飾った4月30日の横浜F.マリノス戦でも長い距離を走り抜いた堂安律(現フローニンゲン)が決勝ゴールを叩き出していた。
皮肉にもこの2試合で遠藤は先発から外れ、横浜F・マリノス戦ではルーキーイヤー以来19年ぶりに、ピッチに出ることなくタイムアップの笛を聞いていたのだ。
もっとも、「ランサッカー」は無敵ではない。
「甲府戦では持たされた感じで前半が終わってしまった。そういう対応をしてくるチームもあるので、僕らは違うエンジンの掛け方というのをもっと学んでいかないと」(東口)
引いた相手を崩し切る策を持たず、昨年同様、前線で絶対的な得点源を見いだしきれなかったガンバ大阪は、リアクションサッカーの限界を露呈。2年連続の無冠は、単なる歯車の狂いがもたらしたものでは決してなかった。
4つのタイトルを得た一方で、失ったかつての攻撃性。しかし5年間の長期政権の総決算が黒字だったのは間違いない。
遠藤は言った。
「タイトルを獲りたくても獲れないチームもある中で、自分たちが4回獲れたのは監督が来てから。残したものは大きい」
長谷川監督とともにガンバ大阪は復権を果たし、ガンバ大阪とともにシルバーコレクターは勝てる監督へと成長した。今季は無冠で終わったことでハッピーエンドにはならなかったが、歓喜あり、涙ありの5年間は濃密な日々だった。