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ウオッカ対スカーレットから10年。
秋華賞の季節に思い出す名勝負。 

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島田明宏

島田明宏Akihiro Shimada

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photograph byKyodo News

posted2017/10/14 11:30

ウオッカ対スカーレットから10年。秋華賞の季節に思い出す名勝負。<Number Web> photograph by Kyodo News

その後ウオッカとのライバル対決で牝馬の時代を築いたダイワスカーレット。その記憶は今も鮮やかだ。

安藤が何度も繰り返した「強い馬です」。

 直線でさらに脚を伸ばしたダイワスカーレットが、1馬身1/4差で秋華賞を制した。

 2着はレインダンス。ウオッカは、そこから首差遅れた3着だった。

「リズムよく走ったときは一回も脚が上がったことがない馬です。先行争いでちょっと脚を使ったので、溜めて後ろを待つより、自分から動いたほうがいいと思って行きました」と安藤は振り返った。その勝利騎手インタビューで、彼は何度も「強い馬です」と繰り返した。

 四位は「内回りコースでGIをやるのはやめるように言ってもらえませんか」と苦笑し、「次はもっと強いウオッカを見せられると思います」と口元を引き締めた。

 スカーレットは、次走のエリザベス女王杯を完勝したのち、有馬記念で2着に惜敗。翌春の大阪杯では牡馬勢を楽に一蹴し、それ以来の実戦となった天皇賞・秋ではウオッカから鼻差の2着。つづく有馬記念を圧勝して引退した。

 ウオッカは、翌'08年の安田記念と天皇賞・秋、'09年のヴィクトリアマイル、安田記念、ジャパンカップを優勝する。

 冒頭でこの秋華賞を「名牝対決」と記したが、「名馬対決」と言うほうがふさわしい、歴史的名馬による競演だったのだ。

さて今年の予想は……。

 今週の第22回秋華賞(10月15日、京都芝内回り2000m、3歳牝馬GI)も、のちに「名馬対決だった」と言われるレースになるだろうか。

◎アエロリット
○ファンディーナ
▲ラビットラン
△リスグラシュー
×ディアドラ

 春までは、ウオッカ世代同様「今年の3歳牝馬はハイレベル」と言われていたのだが、先週の毎日王冠でソウルスターリングが8着に敗れたこともあって、そうした声はあまり聞こえなくなってきた。

 しかし、見限るのはもちろんまだ早い。特に、NHKマイルカップを勝ったアエロリットと、皐月賞で1番人気に支持されたファンディーナは「名馬の香り」をたっぷりと漂わせている。ウオッカやスカーレットのように、その強さで私たちを驚かせてほしい。

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