松山英樹、勝負を決める108mmBACK NUMBER
松山英樹が本当に全英で優勝しそう。
歴代王者と通じるゴルフへの寛容さ。
posted2017/07/21 12:00
text by
舩越園子Sonoko Funakoshi
photograph by
AFLO
全英オープン初日の午前10時08分。ロイヤル・バークデールの1番ティに立った松山英樹の表情は硬かった。しかし、フェアウェイをしっかり捉え、ピン2m半にぴったり付けてバーディー発進を切ると、彼は表情をようやく緩め、口元をキュッと結んだまま小さく頷いた。
「難しい1番で取れたのは大きかった」
もしも、18ホールの戦いが「良かったこと、ほっとしたこと」と「悪かったこと、悔しかったこと」に大別されるとしたら、好発進した松山の初日の18ホールは、「良かったこと」のほうが多かったと言えるのだろう。
4番と6番はどちらもバンカーにつかまってボギーを喫したが、7番と9番はどちらもピン2~3mに付けてバーディーを奪い返した。その挽回ぶりは、間違いなく「良かったこと」だ。
バンカーに入れてもパーを拾う、という戦い方。
パー34の前半はパー5が1つもなく、パー4が続いていく単調な流れだが、パー36の後半になると終盤の15番と17番でようやくパー5が登場。その2ホールは、どちらも2オンが狙えるチャンスホールだ。
その15番は左ラフから3番ウッドでグリーン手前まで持っていき、1mに寄せてバーディー獲得。チャンスホールを生かせたことは「良かったこと」と言えるだろう。
17番は1m半のバーディーパットを外してパーどまりになったが、前半はバンカーにつかまった2ホールでどちらもボギーを叩いたのに対し、後半は17番でも18番でもバンカーに入れながらうまくパーを拾った。そんなふうに見方を変えれば、この2つのパーセーブは、意味のある「良かったこと」だ。