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韓国女子ゴルファーには勝てない!?
キム・ハヌル、イ・ボミらの壮絶秘話。
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![キム・ミョンウ](https://number.ismcdn.jp/mwimgs/f/4/-/img_f4e0d25483c84019d3cd1fc94fde2a0b13377.jpg)
キム・ミョンウKim Myung Wook
photograph byGetty Images
posted2017/07/16 09:00
![韓国女子ゴルファーには勝てない!?キム・ハヌル、イ・ボミらの壮絶秘話。<Number Web> photograph by Getty Images](https://number.ismcdn.jp/mwimgs/4/1/700/img_4157b70d1d07013f70f969a8b589316e88595.jpg)
メジャー大会であるワールドレディスサロンパスカップで優勝した時のキム・ハヌル。今季すでに3勝しており、その快進撃はまだ続いている。
自分の目標より家族への恩返しが重要という価値観。
それに加え、イ・ボミがよく口にしていたのが“一家の家長”になったことへのプレッシャーだった。
大黒柱である父親が他界し、母はツアーに帯同していた。姉は結婚して家を出ていたが、独身の妹2人は韓国でまだ仕事を続けている状態だった。つまり、ひとつの家族を支える“長”がイ・ボミになってしまったわけだ。
当時、イ・ボミはこう語っていた。
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「まさか自分がそんな立場になるとは思っていませんでしたが……今ではその責任感を背負う覚悟ができました。ときに気が重くなることもありますが、乗り切っていかないといけないですよね」
イ・ボミ一家は敬けんなクリスチャンだ。
ティショットを打つ前に十字を切ったり、大会期間中のホテルでも寝る前にするお祈りは絶対に欠かせないルーティーンだ。ただ、いくらクリスチャンとはいえ、儒教が根強く残る韓国。イ・ボミもまた両親を敬い、姉妹を大事にするというところに、まだまだ“儒教精神”が宿っていると感じる。
自分の目標よりも家族への恩返し……一家を支えるためにゴルフを続けるという気持ちが、158cmという小さな体を今も支え続けているのだ。
悲壮な覚悟で一家全員がゴルフを続けさせて……。
3人の経験談に共通するのは“親”だ。
そんなゴルフ教育に熱心な親同士の会話のなかで、冗談とも本気ともつかない、韓国ゴルフ界に伝わる言葉がある。
「1年で家計が破たんしてしまいそうならカジノに行きなさい。10年で破たんしそうならば子どもにゴルフをさせろ」
子どもを使ってゴルフで一攫千金を狙うようなこの言葉は、なんとも聞こえが悪い。だが、それくらい悲壮な覚悟で一家全員が1つの目標に向かってゴルフを続けているという証拠でもある。
世界最高峰の舞台である米女子ツアー、そして今や大人気となった日本女子ツアーで、多くの韓国人選手が活躍できるのは、単なる偶然ではないのである。
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