サムライブルーの原材料BACK NUMBER
欧州で最もゴールを決める日本人。
ハーフナーの独善的FW論が面白い。
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph byYuki Suenaga
posted2017/06/29 11:25
194cmという身長からポストプレーをイメージされるが、ハーフナー・マイクの本質はゴリゴリの点取り屋なのだ。
「自分の場合、相手の視線を見るんですよ」
今季の終盤戦は、まさにハーフナーの本領発揮だった。
リーグ戦では昨年8月以来のゴールとなった3月11日のNEC戦。左FKのボールに対して、マーカーに前に行くと見せかけて、キックと同時に後ろに下がって相手を外して高い打点のヘディングで合わせている。最下位を脱出し、チームに9試合ぶりの勝利をもたらす決勝弾だった。
「自分の場合、相手の視線を見るんですよ。どこにあるか、ですよね。あのNEC戦は自分が動いたことによって、やばいと思って(自分のほうに)目線が来る。人って、やっぱり目で見て判断するじゃないですか。相手も俺を行かせたらダメだと思って、前に出ようとする。じゃあこっちとしては下がればフリーになるなっていう判断でした」
最終節のエクセルシオール戦(5月14日)も、右からのクロスに対してニアに行くふりで相手を前方に行かせてポジションをつくり、そこから前に飛び込んでのダイビングヘッドでゴールを挙げた。
ニアと読む相手の裏をついてファーへ。
ここでも彼なりの駆け引きが隠れていた。
「去年、ニアに合わせるクロスが多かったんです。クロッサーに相手のプレッシャーが掛かっている場合、大体はボールがニアに来る。あとは、どうやって合わせるか。クロスの瞬間に駆け引きして、入っていく一番いいタイミングを考えています」
このエクセルシオール戦のゴールシーン、相手はニアで前に入られないことを警戒していた。それを逆手に取るかのように、合わせるポイントをニアではなく中央に置いて、相手を外している。
ローダ戦(4月2日)、PSV戦(15日)はこぼれ球を押し込んでいる。偶然ではない。これも「予測してちゃんといる」意識から生まれている。