ラグビーPRESSBACK NUMBER
懐かしき“トンガ旋風”覚えてる? 大学ラグビー大東文化大はなぜ甦ったか…30年前“日本一のチーム”でも見た「スリッパをきれいに揃える」大切さ
posted2024/12/13 06:00
text by
大友信彦Nobuhiko Otomo
photograph by
JIJI PRESS
ラグビー大学選手権は12月14日に3回戦が行われ、大学日本一を争う戦いが実質的にスタートする。
「実質的に」と断ったのは、大会自体は11月にすでに開幕しているからだ。大学選手権には実力上位の関東大学対抗戦とリーグ戦、関西大学Aリーグから11校と、「地方枠」として北海道・東北から1校、東海北陸・中国四国から1校、九州から1校が出場。この「地方枠」3校の戦いは11月17日から行われており、九州代表の福岡工大が3回戦に進出している。
優勝争いは大会4連覇を目指す帝京大と、関東大学対抗戦に17年ぶりの全勝優勝を飾った早大、その早大と3点差の激戦を演じた明大という対抗戦の3校と、天理大と京産大という関西の2強がどう絡むか? と見られているが、面白い存在が、関東大学リーグ戦に7季ぶりの優勝を飾った大東大だ。
大東大はリーグ戦の開幕戦から東洋大、日大、立正大、関東学院大を破り4連勝。リーグ戦6連覇中の東海大とは33-33で引き分け、続く流経大には22-27で敗れたが、しぶとく7点差以内負けの『惜敗ボーナスポイント』を獲得。最終節の法大戦を45-32で制し、5勝1敗1分で7季ぶり9回目の優勝を飾ったのだ。
大東大の復活は「私生活の見直し」から
優勝を決めた日の記者会見で、面白いやりとりがあった。
「優勝できた理由は?」という報道陣の質問に、蓑洞功志キャプテンは答えた。
「練習でミスに厳しくして、私生活も見直したからこそ、勝ち切れたと思います」
――私生活の見直しとは、たとえば?
そう聞き返すと、蓑洞主将は言った。
「普段からスリッパをきれいに揃える。ゴミをちゃんと捨てる。掃除をきちんとやる。そういうことを徹底したことで、ラグビーの面ではオフサイドが多かったのが、きちんと半歩下がるとか、そういう規律につながったと思います」
面白い答えだなあ、と思ったと同時に、頭の中に鮮明に蘇った光景があった。
大東大が1994年に選手権で優勝を飾ったときだったと思う。東松山市の寮を取材に訪ねたときも、記者はスリッパがキレイに揃えられていたことに感動したのだ。
大東大の酒井宏之現監督はその時、井澤航主将を支える副将を務めていた。