松山英樹、勝負を決める108mmBACK NUMBER
松山英樹が全米OP直前に掴んだ気配。
未知のコースでの開催は吉か凶か。
text by
舩越園子Sonoko Funakoshi
photograph bySonoko Funakoshi
posted2017/06/06 07:00
「何かを掴んだ」ことが表情からも見て取れた最終日。全米オープンに向かう松山英樹は、どんな計画を練っているのだろうか。
全米OPは「チャンスはある。考えながらやりたい」。
1週間のオフを経て迎える今年の全米オープンの舞台は、ウィスコンシン州ミルウォーキー近郊のエリンヒルズだ。
2006年の開場からわずか11年しか経っていない新しいコースで、全米オープンは初開催。メジャー大会では最長レベルの全長7693ヤードを誇るが、下馬評では「ラフは短め、フェアウェイは広め、ハザードはほんのいくつかしかない一見イージーなコース」だそうで、大会を主催するUSGA(全米ゴルフ協会)のエグゼクティブ・ディレクター、マイク・デービス氏も「風が吹かなければ、すごいスコアが出る。雨が降って地面がソフトになれば、やっぱりすごいスコアが出る」と言っている。
しかしUSGAが、どこかに何かを施し、きわめて難しく設定するであろうことは想像に難くない。「風が吹かなければ」、「雨が降れば」という前提は、気まぐれな天候のせいで往々にして変わり、「風が吹けば、雨が降らなければ、スコアがまるで伸びない難コース」になる可能性と隣合わせだ。
誰にとっても情報が少なく、掴みどころのないコースは、試行錯誤の中で小さなきっかけを模索している今の松山と、うまくマッチングする可能性とも隣合わせだ。
「今ぐらい(ショットが)曲がっていたら話にならない」
自嘲気味にそう言い放ちながらも、松山自身、実は小さな可能性を感じつつ、信じているのだと思う。
「いいショット、アプローチ、パッティングができれば、チャンスはある。考えながらやりたい」
最後まで絶対に諦めない。それこそが松山の最大の武器。そう信じつつ、彼が挑む全米オープンをじっくりと見つめたい。