松山英樹、勝負を決める108mmBACK NUMBER
松山英樹が全米OP直前に掴んだ気配。
未知のコースでの開催は吉か凶か。
posted2017/06/06 07:00
text by
舩越園子Sonoko Funakoshi
photograph by
Sonoko Funakoshi
松山英樹の試行錯誤の旅が続いている。その旅は期せずして、やや長旅になりつつある。
振り返れば、昨秋から今春にかけての快進撃は、文字通り破竹の勢いだった。そして、今年2月のフェニックスオープンを制して大会2連覇を達成。だが、翌々週のジェネシスオープンで予選落ちを喫したころから、彼の勢いは途絶え、試行錯誤の旅が始まった。
ショットが良ければパットが悪く、パットが良くなればショットが悪く、ともすると、どちらも悪くなる。そんな苦悩が続き「なんとかしなきゃ」と練習を積み、試行錯誤の繰り返し。
しかし努力はなかなか報われず、今週のメモリアル・トーナメントはトップ10入りがないまま迎えた8試合目となった。
初日は前半で2つスコアを落としたが、池の方向へ飛んでいったティショットが「木に当たって戻った。ラッキーだった」という11番でバーディーを奪い、「そこからうまく伸ばせた」。
淀んでいる流れが変わるのなら、そのためのきっかけは小さくてもいいし、なんだっていい。幸運の1打を転機に流れを変え、2アンダー70で回り、13位で好発進。
「満足感というより奇跡的な感じ。やっと“余裕で2アンダー!”というゴルフができた。明日からも今日みたいに粘り強くいきたい」
久しぶりに見せた笑顔には喜びが溢れた。
珍しく弱音も吐いたが、模索は途切れない。
だが、2日目からは再び流れが淀んでしまった。
ショットの行方は、ラフあり、バンカーあり、池ありという乱れ方。グリーン上では、蹴られることあり、リップアウトあり、3パットありで、2日目は2オーバー74、3日目は4オーバー76と崩れ、65位まで後退した。
「今の調子の悪いところが、そのまま出ている」
「これ以上、練習したほうがいいのか、わからない」
「ずっと(不調)なので、しんどい……」
迷いと苦悩の連続の中、珍しく弱音も吐いた。だが、言葉とは裏腹に、ラウンド後はその足で練習場へ向かい、「悪い」の連続の中で「いい」を追い求める。
そんな我慢強さは、松山の武器だ。