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栃木ブレックス、決勝進出の陰に。
選手の強気、コーチの献身、そして。
 

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ミムラユウスケ

ミムラユウスケYusuke Mimura

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photograph byKyodo News

posted2017/05/26 11:30

栃木ブレックス、決勝進出の陰に。選手の強気、コーチの献身、そして。<Number Web> photograph by Kyodo News

黄色一色に染まった栃木ブレックスのアリーナは、チームの力を限界まで引き出すのだ。

マークが薄くなりそうな選手にシュートの特別練習。

 ロシターは、あの場面を振り返る。

「うちは選手とコーチの間でも素晴らしい信頼関係がありますけど、それはコーチ陣の間でも同じなので。このチームにある素晴らしい信頼関係というものが、実際に出た瞬間だったと思います」

 このシーンには2つの伏線がある。

 1つ目が、前日の第1戦である。千葉ジェッツとの準々決勝と同様に、栃木の守備の狙いが見事にはまり、危なげなく勝利を飾った試合だ。この日は攻撃も試合前に準備していたとおりの展開で進んでいったのだが、竹内公輔はこう話している。

「(普段はそこまで多くのシュートを放つわけではない)僕に、相手はスペースを与えてくれると思っていました。コーチ陣も事前にそれを予想していたので、先週の千葉戦が終わってから、個人的にシューティング練習に時間をかけていました。強いチームにはそういう優秀なスタッフがいます。それは、どこの国にいってもそうじゃないかなと思います」

 そして、こう続けた。

「コーチは僕たちが練習に来る前からずっと相手の分析をして、練習が終わったら僕たちのトレーニングにつきあってくれて、本当に感謝しかないです。僕は1年目なのですが、素晴らしいチームです」

 選手たちが力を発揮した裏には、コーチ陣の力量があったのだ。

2試合目終盤に、勝敗の分岐点があった。

 2つ目が、2試合目の展開だ。

 2試合目は序盤から三河がリードを奪い、第3Qが終わった時点で19点差がついていた。1勝1敗で3試合目にもつれこむ可能性が濃厚だったため、主力の体力を温存する必要があり、両チームとも第4Qにはスタメンの選手の多くを休ませていた。

 しかし、ここで栃木のスタメンではなかった選手たちが猛烈な追い上げを見せていたのだ。とりわけ、熊谷尚也は7連続ポイントをマークする暴れようで、残り3分18秒の時点で、19点差から一度は同点に追いついてもいる。

 最後は三河が逃げ切ったのだが、この第4Qに、GAME3につながる決定的な分かれ目があった。

【次ページ】 主力を休ませることができなかった三河の誤算。

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