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田臥「負けた時に、チームみんなが」
Bリーグ初代王者、栃木の1年間。
posted2017/06/03 09:00
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph by
Kyodo News
12年分の想いを晴らすような最高の戦い。それが川崎ブレイブサンダースと栃木ブレックスによるBリーグ初年度の頂点を決める一戦だった。
12年前にbjリーグが開幕して、日本バスケットボール界に2つのトップリーグが並列する異様な状況はもうない。Bリーグの名の下に彼らはひとつになった。
そして、今回のファイナルを振り返るとき、“あの話”はとても大きな意味を持ってくる。
今年1月、栃木と川崎による交流戦が1勝1敗で終わったあと、初戦の後に竹内公輔はこんなことを話していた。
「『去年の俺たちは、川崎に負けたから優勝できなかったんだ』とミーティングでも常に、全員が言ってるんですよ。僕は去年このチームにいなかったですけど、川崎に負けて、何人もの選手が悔し涙を流していたことを知っていました。だから、僕やジェフ(・ギブス)のような去年はいなかった選手も、去年からチームにいたような気持ちになって、『絶対に勝つ。去年の悔しさを晴らす!』と試合前には全員が話すようになっていました」
何度も、何度も立場が逆転するスリリングな決勝。
NBL最後のシーズンとなった昨年、栃木は川崎(当時は東芝神奈川)とプレーオフの準決勝で対戦している。初戦は栃木が勝ったものの、そこから川崎が2連勝して決勝へ。そのまま川崎がNBLのタイトルを手にしていた。
そして1年がたち、今年のBリーグのファイナル。勝負をわけた差は、今回もわずかにすぎなかったのかもしれない。クォーターごとのスコアはこうだ。
1Q 川崎 21-21 栃木
2Q 川崎 37-43 栃木
3Q 川崎 63-59 栃木
最終スコア 川崎 79-85 栃木
日本一を決める決勝戦らしく、つまらないミスはほとんどない。それでいて、試合の流れは、両チームの間を浮気するかのように行ったり来たりしていた。
同点となるシュートが9本、逆転や勝ち越しのシュートは14本。1点をめぐる接戦となった。