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六大と東都はパワー型投手不足か?
地方リーグ全盛の流れに抗う10人。

posted2017/04/30 07:00

 
六大と東都はパワー型投手不足か?地方リーグ全盛の流れに抗う10人。<Number Web> photograph by NIKKAN SPORTS

早大相手に貫録のピッチングを見せた明大の森下暢仁。プロも注目の逸材だ。

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小関順二

小関順二Junji Koseki

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NIKKAN SPORTS

 昨年のドラフトで、東都大学リーグの投手が指名されたのはオリックス2位の黒木優太(立正大)だけである。今季は開幕早々一軍でも結果を残しているが、黒木は1部リーグで1試合も投げていない。

 社会人経由の東都出身者では巨人4位の池田駿(ヤマハ)が専修大時代に5試合投げているが、勝ち星は0勝。つまり、東都1部リーグを経験した新人の勝ち星は1つもない。これはかなり異例である。

 東都リーグ出身投手がドラフトで1人も指名されなかったのは、過去20年間では'97年に1回ある。それでも前年の'96年には澤崎俊和(青山学院大→広島1位)、入来祐作(亜細亜大→本田技研→巨人1位)、黒田博樹(専修大→広島2位)が上位指名されているので、大学球界屈指の勢力を誇っていたことは間違いない。

澤村、東浜、山崎、今永は主力になっているが。

 2010年代は以下の9人が社会人野球を経ずに上位指名でプロ入りを果たしている。

 澤村拓一(中央大→'10年巨人1位)、藤岡貴裕(東洋大→'11年ロッテ1位)、東浜巨(亜細亜大→'12年ソフトバンク1位)、杉浦稔大(国学院大→'13年ヤクルト1位)、九里亜蓮(亜細亜大→'13年広島2位)、山崎康晃(亜細亜大→'14年DeNA1位)、薮田和樹(亜細亜大→'14年広島2位)、今永昇太(駒沢大→'15年DeNA1位)、原樹理(東洋大→'15年ヤクルト1位)。

 この中で澤村、東浜、山崎、今永は投手陣の主力になっている。

 社会人経由組では'09年以降、中澤雅人(中央大→トヨタ自動車→'09年ヤクルト1位)、美馬学(中央大→東京ガス→'10年楽天2位)、十亀剣(日本大→JR東日本→'11年西武1位)、小石博孝(立正大→NTT東日本→'11年西武2位)、吉田一将(日本大→JR東日本→'13年オリックス1位)の5人が上位指名され、それぞれ各球団の戦力になっている。

【次ページ】 今季の東都は久々に球速の出る投手が多く並ぶ。

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