金トレ!実践編BACK NUMBER
第4回 フルマラソンを攻略する
text by
川上康介Kosuke Kawakami
photograph bySports Graphic Number
posted2011/01/30 08:00
レースマネジメント――オーバーペースは絶対禁物!
「フルマラソンを走るには、コースを把握することが重要です。例えば、どこに坂道があるか、それがどのくらい続くのかということを分かっているかどうかで心理的な負担がだいぶ変わってきます。またコース内に自分なりのランドマークを見つけて距離感覚を覚えておけば、ペースを作るのに役に立つはずです」
湘南国際マラソンの場合、江の島や折り返し地点がランドマークになりうる。コース内には必ず距離の表示があるが、自分なりのポイントを見つけることで「いつも走っているコースならどの辺りだな」ということも考えられるようになるはずだ。長丁場のフルマラソンでは、こういった自分のモチベーションのコントロールも必要なのだとか。
次はいよいよレース本番。直前の準備でも走りに差が出る。
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「特に寒い時期のマラソンは、天候、気温によってどの服を選ぶかは、意外と大きなポイントです。アドバイスするなら『迷うなら持っていく』。そのうち暑くなるからと、いろいろ脱いで置いていってしまうと、スタートまでの間にカラダが冷えきって、走りがギクシャクしてしまいます。最悪、あとで捨ててもいいというくらいの気持ちで、慎重に選ぶようにしましょう。
フルマラソンで一番大切なのはオーバーペースにならないこと。
スタート地点に並ぶ前には入念にストレッチ、体操をします。ただ今回の湘南国際のように大きな市民マラソンでは参加人数が多いので、スタート地点についてからスタートまで結構待たされることになります。かなり込み合うと思いますが、小刻みにカラダを揺するようにして、カラダが冷えないように気をつけてください」
そしていよいよスタート。金さんいわく「最初の5キロのペースがその後を左右する」。
「フルマラソンで一番大切なのは、とにかくオーバーペースにならないこと。最初の5キロで自分の設定したペースにカラダを慣れさせ、走りを整えるようにしましょう。カラダが温まってきて、自然にペースが上がるのは問題ありません。ただし自分では上げないこと。ペースの誤差の許容範囲は、5キロごとの目標でプラスマイナス1~2分。誤差がこれを超えないようにしていけば、最後まで走りきれるはずです」
「苦しいから頑張ろう」と力むと、フォームが乱れ地獄に……。
抑えめにスタートして、徐々にペースアップ。後半の落ち込みを小さくする走りが理想的。
「ハーフくらいまでは、余裕を持って走りたいですね。隣の人と話せるくらいのペースで十分だと思います」
それでも辛くなってくるのが25~35キロあたり。ここでの走りが最終的なタイムを左右するのだという。
「どんなランナーでも一番大変なのがこのあたり。でも頑張りすぎずにリラックスして走ることを心がけてください。ここまで来たらペースを落としてもいいと思います。それよりも自分の走りをすることのほうが大切。『苦しいから頑張ろう』と思うと、力みからフォームが乱れます。そうすると、35キロからあとが地獄になります」
無事にここを乗り切ったら、35キロ地点で時計をチェック。
「ここでゴールタイムを設定して、それを目標に頑張りましょう。前半はなかなか計算できませんが、ここまで来たら大丈夫。最後は歩いてもいいですが、なるべくペースを落とさないようにしましょう」
聞いているだけでも完走できるような気にさせてくれるのが、金さんのすごさ。2時間にわたる特別講座で「マラソンの極意」を学んだ11人。さあ、その効果はどうだったのか?
リアル「金トレ!」第4回
――本日の金言――「最初の5キロのペースがその後を左右する」