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タカマツペア、強さの源はギャップ。
リオ五輪の逆転劇生んだ無理と道理。
text by
矢内由美子Yumiko Yanai
photograph byShinya Mano/JMPA
posted2017/01/09 07:00
優勝が決まった瞬間、高橋はコートに仰向けに倒れこみ号泣。一方の松友は、真っ先に高橋と抱き合いたかったが「(高橋を)見ると転んでいて(笑)」と、先にコーチと喜びのハグをかわした。
停電のハプニングが練習回数の増加となる幸運も。
リオデジャネイロ五輪では大会前の調整もうまくいった。日本チームは中国、韓国、インドネシアといったライバル国と比べて1週間前後も早い7月31日にリオデジャネイロ入りし、環境にアジャストしてきた。
日本チームの舛田圭太コーチによれば、オリンピックでは本来ならば規定により、試合会場での公式練習は3度しかできないが、サブ会場が2度停電になったことが逆に幸いし、計5度も試合会場を使えた。
照明の位置や風の流れ、強さなどを細かくチェックしたことで、日本チーム全体が予選リーグの出だしから絶好調。タカマツも自然と良い流れに乗った。
シャトルがヨネックス製だったことも後押し。
大会使用シャトルがヨネックス製であることも日本勢を後押しした。同じく舛田コーチによれば、高品質で均一性の高いこのシャトルを使う主要大会は全英オープンとヨネックスジャパンオープンのみ。日本勢にとって相性の良いシャトルだった。
ペア結成から10年目の頂点だった。2人の出会いは高橋が小学5年生、松友が4年生のとき。シングルスで試合をしたのがきっかけだ。2人は意気投合し、仙台市の聖ウルスラ学院英智高時代の'07年夏、高橋が2年、松友が1年のときにペアを組んだ。
社会人でも1年違いで日本ユニシスに入社。ナショナルチームで女子ダブルスを指導する中島慶(中国名・丁其慶)コーチは「2人は最初からコンビネーションが光っていた。決勝戦はどっちが勝ってもおかしくない試合だったけど、その戦いを制した。嫌かもしれないけど2人を抱きしめてあげたい」と笑顔でねぎらった。