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タカマツペア、強さの源はギャップ。
リオ五輪の逆転劇生んだ無理と道理。 

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矢内由美子

矢内由美子Yumiko Yanai

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photograph byShinya Mano/JMPA

posted2017/01/09 07:00

タカマツペア、強さの源はギャップ。リオ五輪の逆転劇生んだ無理と道理。<Number Web> photograph by Shinya Mano/JMPA

優勝が決まった瞬間、高橋はコートに仰向けに倒れこみ号泣。一方の松友は、真っ先に高橋と抱き合いたかったが「(高橋を)見ると転んでいて(笑)」と、先にコーチと喜びのハグをかわした。

オグシオ、スエマエ、フジカキの奮闘を見て育った。

 '04年から日本代表を指導する朴柱奉監督は「逆転できるとは思っていたが、最後の高橋の集中力は素晴らしかった」と、16-19となった後にネットすれすれの厳しいショートサーブを入れた後衛を称えた。

 もちろん、追い込まれてから強さを発揮したのは高橋だけではない。この試合、いつになくミスが多かった松友も、終盤は思い切って前に出た。前衛の積極的な位置取りが高橋の強烈なスマッシュを後押ししていた。

 女子ダブルスは、'08年北京五輪の「オグシオ」こと小椋久美子、潮田玲子組が人気に火を点け、「スエマエ」こと末綱聡子、前田美順組が同大会でアテネ五輪金メダリストを破って実力をアピールし、'12年ロンドン五輪では「フジカキ」こと藤井瑞希、垣岩令佳組が銀メダルを獲得した。

 先輩ペアたちの奮闘を見ながら、勝てなかった時期もコツコツと練習を繰り返してきたタカマツは、'14年に世界ランク1位になり、リオデジャネイロ五輪では日本バドミントン界に初の金メダルをもたらした。

「19-19からは覚えていないんです」(高橋)

 高橋は、「ファイナルゲームの19-19からは覚えていないんです。どうやって勝ったんだろう。表彰台に上がっても実感が湧きませんでした」と夢心地に浸っていた。

 表彰式を終えてすっかり涙の乾いていた松友は、「今までの国際大会でも、今日の決勝戦のデンマークのペアや、中国、韓国、インドネシアのペアと戦えるのが楽しかった。世界各国の選手たちがいてくれたから今の自分がある。今回のリオ五輪で最後という選手もいた。試合で自分たちの力をぶつけて恩返ししたいと思った」と言うと、また、涙があふれた。

「ペアを結成したときは、まさかここまで来られると思わなかった」と互いに感謝し合った2人。穏やかでやさしい表情には、険しさのかけらもなかった。

(2016年夏/Number特別増刊号「高橋礼華 松友美佐紀 最強ペアの“ギャップ”と“無心”。」より)

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