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ロシアで組織ぐるみで1000人以上。
新たなドーピング報告書の衝撃。 

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及川彩子

及川彩子Ayako Oikawa

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posted2016/12/25 08:00

ロシアで組織ぐるみで1000人以上。新たなドーピング報告書の衝撃。<Number Web> photograph by AFLO

ドーピングの調査を担当したマクラーレン弁護士。ロシアで薬物使用が恒常化していたことを指摘するなど、踏み込んだ内容になった。

結局ロシアはリオ五輪で金19個、メダル56個だった。

 リオパラリンピックは全競技、リオ五輪では国際陸上連盟がロシアを出場停止処分にしたが、他競技はロシアを容認。その結果、ロシアは19個の金メダルを含め、56個のメダルを獲得している。

 水泳ではドーピング問題で揉め、最終的に出場が認められ、銀メダルを獲得したロシアのユリア・エフィモワに観客から激しいブーイングが飛んだほか、一緒に競技をした選手も表彰式でエフィモワを拒絶。ドーピング問題の根深さが垣間見えた。

 クリーンな選手たちの、ロシアや各競技の競技連盟、世界反ドーピング機関への不信感は募るばかりだ。ドーピングが増え続ければ、自分たちの競技が廃れていく、という恐怖感も彼らは抱えている。競技連盟や世界反ドーピング機関は選手のそういった声に真摯に耳を傾け、清浄化に向けて努力する必要がある。

 国際陸上連盟はドーピングをしている疑いのある選手や関係者を告発するサイトを設けたが、開設とともに多くの情報が寄せられている。ほかの競技連盟も「対岸の火事」と考えず、ロシアのドーピングを自らの問題として考えていく必要があるだろう。

 約1年後に平昌五輪、パラリンピックを控え、組織委員会がどのような対応をとるのか興味深く見守りたい。

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