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G大阪を完全に粉砕した浦和の“右”。
駒井善成のドリブルは「やっかい」だ。
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byJ.LEAGUE PHOTOS
posted2016/10/04 11:00
プラチナ世代の1人であり、宇佐美貴史がドリブルを絶賛したというエピソードでも知られる駒井善成。
選手層の厚い浦和でも、徐々に存在感を発揮。
駒井は今シーズン、京都から浦和に移籍した。豊富なFW陣に加え、梅崎司、関根貴大ら優秀なアタッカーが多い中、競争を勝ち抜いて試合に出るイメージを持っていたが、現実はそれほど甘くはなかった。ファーストステージはほとんどが途中出場で、スタメン出場はわずか3試合。慎重な監督の信頼を掴むまでには至らなかった。
セカンドステージのスタメン出場はガンバ戦で5試合目となったが、ここに来てようやく自分の調子に手応えを感じられるようになったという。
「京都では、ずっとスタメンで90分走れる体だったんですけど、レッズに来て途中から出ることが多くなって、試合の感覚や自分の間合いとかが掴みづらかった。早く結果を出さなあかんというプレッシャーもありました。しかも足首をケガしてから自分のステップが踏めず、いろんな葛藤をしながらプレーしていたんです。
でも、FC東京戦(9月17日)から足首の調子がよくなって、やっと思い通りの力で踏み込めるようになったし、ムリがきく体になってきた。それが自分の気持ちに余裕を与えてくれて、今のプレーにつながっていると思います」
ドリブル縦一直線から、プレーの幅が一気に広がった。
3得点に絡んでいるように、プレーの幅が確実に広がっている。前はドリブルも縦一直線で、タッチラインを越えたり奪われてカウンターを喰らうことが多かったが、今は自分で行くところ、パスを出すところを冷静に見極めている。イケイケドンドンのドリブルではなく、自分の間合いで勝負し、周囲との距離感、ボールを受ける位置などバランスが非常にいい。それが破壊力を生んでいる。
「今日は右サイドから点が生まれたし、右サイドの選手としてはすごくうれしいです。個人的にはシュートを決めきれなかったので、あれを決めないともうひとつ上の選手にはなれない。やっぱり得点なり、アシストをしたかったです。ただ、こういう攻撃を続けて、もっと精度を高めていけば武器になると思うんで、つづけていきたいですね」
駒井は浮かれることなく、冷静な表情でそう言った。