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岡崎慎司が出場機会減に考えること。
「自分が目指すFWの形を貫き通す」
text by
寺野典子Noriko Terano
photograph byAFLO
posted2016/09/29 07:00
どの選手を起用するかは、監督の専権事項。しかし、岡崎慎司の昨季のプレーはファンやチームメイトの脳裏に確かに焼きついているはずだ。
ラニエリ「なぜここでシュートを打ったんだ」
「昨シーズン、こんなところでシュートを打ったりしなかっただろう? なぜシュートを打ったんだ」
リバプール戦の映像を見ながらのミーティング。ラニエリ監督は岡崎がミドルシュートを打ったシーンでそんな言葉を発したという。昨季のような必死さや献身性がチームに欠けているということを熱弁していた流れでの発言ではあったが、指揮官が自分のことをどう認識しているかがわかってしまった。シュートではなく、パスを選択する選手。ストライカーとしての存在感を監督に示せていないのだ。
「5得点しか決めていないことに満足していないのは僕だけじゃないということ。だから、FWを2人も獲得したんだと思う」
守備力や献身的なハードワークへの評価は、ストライカーとしては「危険なサインでもある」と岡崎は常々語っている。その危機感が現実のものとなった。
自分を見失わず、そのうえで付加価値を。
9月17日第5節のバーンリー戦。スリマニが2ゴールと活躍するのをベンチで見ていた岡崎は、自身が直面している現実を前にある思いに至った。ブンデスリーガで2季連続二桁ゴールを挙げ、ドイツ国内の強豪クラブからのオファーを蹴って、レスターへの移籍を決意したときの気持ちだ。
「マインツでゴールを決めていても、ワールドカップやアジアカップでは何もできなかった。ストライカーとして新たな高みを目指すためには、プレミアリーグ、新天地へ挑戦しなければならない。たとえ試合に出られなくて、代表に呼ばれなくなったとしてもレスターでチャレンジしなくちゃいけない」
今のこの状況こそが、自分を進化させるために必要な環境だと気づいた。
気持ちが整理され、焦りも不安も消える。昨季身に着けた自信を手放してはならない。そして、自分らしくプレーし続けていくこと。そのうえで今はない付加価値を示し、監督の認識を変える。