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岡崎慎司が出場機会減に考えること。
「自分が目指すFWの形を貫き通す」
text by
寺野典子Noriko Terano
photograph byAFLO
posted2016/09/29 07:00
どの選手を起用するかは、監督の専権事項。しかし、岡崎慎司の昨季のプレーはファンやチームメイトの脳裏に確かに焼きついているはずだ。
チェルシー戦の2得点は「なかった」ことに?
9月20日、リーグカップのチェルシー戦に先発出場した岡崎は、2ゴールを決める。雪辱というよりも「自分は自分のプレーをする」と平常心で挑んだ結果だった。
続くマンチェスター・ユナイテッド戦も出番はなかった。しかし、1-4と敗れたことでポルト戦出場の可能性が広がったかに見えたが、結局それも叶わなかった。チェルシー戦の活躍でも、指揮官の認識を変えることはできなかった。
「まあ、なかったような感じですね(笑)。負けたし(延長戦の末2-4と敗れている)」
岡崎はそう苦笑いする。もうそうするしかない。
「俺がやれることを続けるだけですね。こんなことを言ったらあれですけど、自分が目指すFWの形を突き詰めて、昨季はそれを監督が好きだと言い、使われた。だからそれを貫いて、1年間を戦い抜くということだと思います。まあ、しょうがないですけど、これが今の僕の現在地だから」
「今は、日本代表のことは考えていないですね」
良いスタートを切れた今季だったが、AマッチウィークでのW杯アジア最終予選でUAEに敗れ、続くタイ戦では出場がなかった。10月2日からまた代表でクラブを離れる。今回はオーストラリアへの遠征もある。クラブでの現状と代表での活動。そのふたつを岡崎はどんなふうにとらえているのか最後に聞いた。
「代表に選ばれたら光栄だし、もちろん、そのために頑張ります。でもこれは正直な自分の考えですけど、代表だけのためにやっているわけじゃないから。まあ僕らも30(歳)だし、経験がある。多少クラブで試合に出ていなくても使われればできる自信はあるから。
代表は代表で今は問題を抱えていると思う。ちょっとこうチグハグというか、みんなが自信を持ってプレーができなくなっているので。僕らベテランは、試合に出る、出ないということだけじゃなくて、みんながもっとやりやすい環境にしていきたい。集まった選手がすぐに力を発揮できるような場を作るというか。代表のスタイルがまだ定まっていないと思うし、監督の意図っていうのもあると思うけれど。
まあでも、代表とクラブとは別問題だから。今は、日本代表のことは考えていないですね」
個の能力が高い選手が揃うプレミアリーグ。そこでどう生き抜くか。岡崎が乗り越えたい壁は昨季も今季も変わらない。昨季はリーグ優勝という結果を手にし、それに貢献したという自信は揺らがない。クラブ内での厳しい競争の真っ只中で、もっとも危険なのは、自信を失うことだ。
もちろん足りないものはある。それでも、自分の武器を見失ってしまえば、あっという間に崩れてしまうだろう。現実から逃げてしまえばプレミアリーグへ来た意味も自身の進化もありはしないのだから。