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WEC富士6時間耐久レースで、
ハイブリットの“超”加速力を堪能せよ! 

text by

大串信

大串信Makoto Ogushi

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photograph byTOYOTA

posted2016/09/28 10:50

WEC富士6時間耐久レースで、ハイブリットの“超”加速力を堪能せよ!<Number Web> photograph by TOYOTA

アメリカのテキサスで開催された前戦では、小林が3位、中嶋が5位に入っている。富士では絶対に負けられない!

周回遅れの車両を抜きながらも、速く走る技術。

 レースの見どころはそれだけではない。実はコース後半、いわゆる第3セクターと呼ばれるテクニカルセクションでもWECならではの闘いを目撃できる。

 WECを闘うドライバーの仕事は、ただ速く走るだけではない。できる限り速く走りながら、いかに周回遅れの車両を接触なく抜き、かつラップタイムを落とさないで走るか、そのテクニックが問われるのだ。

 さまざまなクラスが混走するWECでは、レース中に必ず周回遅れの車両に追いつく。一般に「トラフィックに引っかかる」と表現される状況である。ダンロップコーナー先、テクニカルレイアウトの第3セクターはトラフィックの生じやすいセクションである。

「ドライバーによっては、ひたすら無線のマイクに向かって面白いことを言うやつ、いますよ。いきなり叫ぶから、何かあったんかなと思ったら、単純にトラフィックに引っかかっている」と小林は笑う。

「言い訳を含めて、『トラフィックに引っかかった、俺が遅いんじゃない!』と。実際、トラフィックに引っかかるとル・マンでは1周3秒、4秒ラップタイムが落ちることがあるんです。タイムだけを見ていたら、『あっ、こいつ何か失敗したな』と思われてしまうので、『そうじゃないよ』とアピールするんです」と中嶋。

レーシングドライバーの孤独。

 レーシングカーのコックピットに収まり、サーキットを疾走するレーシングドライバーは孤独に陥る。無線こそつながってはいても、チームから目視できない場所もある。

 第3セクターは特にそうだ。ここではトラフィックにひっかかりがちだが、それをチームがすべて把握して理解してくれるとは限らない。理解されていないなと感じたら、孤独に陥ったドライバーは無理をするようになり、往々にしてミスを犯しマシンを壊してしまう。だから、ドライバーとチームの間に築く信頼感は、耐久レースでは大きな要因になるのだ。

 中嶋は言う。

「(レースの実戦オペレーションを担当する)TMG(Toyota Motorsport GmbH)は、もともとF1をやっていたチームなので、(タイムが第1という)F1マインド的なところがあったんです(笑)。でも、WECをやって5年目、タイムだけがすべてではない、という雰囲気になってきて、余計なリスクを負わなくてもいいという意味では、ドライバーにとってはすごくやりやすくなりました。でも、かといって、(できる限り速く走れという)プレッシャーがないのもだめなんですけどね」

【次ページ】 大容量モーターとV6ターボが4輪を駆動させる。

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