パラリンピックPRESSBACK NUMBER
日本が銀獲得、ボッチャという競技。
ポイントは究極の創意工夫と戦略性。
posted2016/09/13 17:00
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph by
AFLO
新たな歴史を刻んだ。
9月12日、ボッチャのチーム決勝が行われた。
広瀬隆喜、杉村英孝、藤井友里子、木谷隆行から構成された日本が、タイと対戦。タイは世界ランキング1位で、ロンドン五輪金メダルの強豪。4-9で敗れたものの、パラリンピックで初めてのメダルとなる銀メダルを獲得した。
日本はこれまで五輪に2度出場し、北京では決勝トーナメントに進めず、ロンドンでは7位。これまでを振り返れば、初のメダルは大きな飛躍でもある。
その根底には、使命感と創意工夫があった。
ボッチャは、広く言えばカーリングに似ている。
ボッチャは、1対1の個人戦、2人同士のペア、3人同士で行うチームがある。男女の区別はない。
どの場合も、1エンドあたりそれぞれ6個のボール(赤あるいは青)が投げられ、ジャックボールと呼ばれる白いボールを的にして、どれだけ近づけるかを競う。
カーリングのような似た競技と異なるのは、的である「ジャックボール」の位置が固定されていないことだ。赤いボールを持っている方が最初にジャックボール自体も投げてその位置をめぐって競い、次のエンドは青いボールを持っている側がジャックボールを投げられる。
6個のボールを投げ終わったあと、いちばん近いのはどちらかを判定する。
そして遠かった方の、ジャックボールにいちばん近いボールとジャックボールを結んだ線を半径とした円の中に、ジャックボールに近い方のボールが何個あるかが得点となる。
脳性麻痺者や同じ程度の四肢重度機能障がいなどで、運動機能に重い障害がある人のために考案された。
日本では、'90年代にヨーロッパから導入されたと言われる。1997年に日本協会が設立された。
パラリンピック出場は3度目となるが、選手たちには「少しでも知られてほしい」という意気込みがあった。