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ロマゴンと井上尚弥が遂に同階級に!
世紀の一戦の実現は“義務”である。
text by
渋谷淳Jun Shibuya
photograph byAFLO
posted2016/09/12 11:30
46戦46勝38KO。前傾姿勢を崩さずに前に出続けるローマン・ゴンサレス(左)は、いつも「倒す」という意志をみなぎらせている。
夢の対戦に向け、現地観戦した井上尚弥の感想は?
その強さゆえに世界タイトルマッチの対戦相手探しに苦労した時期もあったゴンサレスだが、この2年ほどは年3試合のペースで強敵と拳を交えてきた。その多くでKO勝利を飾っているとはいえ、疲労の蓄積は確かにあったかもしれない。4月のマックウィリアムス・アローヨ(プエルトリコ)戦では久々にKO勝利を逃した。
無類の強さを発揮してきたゴンサレスも29歳、キャリアは46戦を数えるのだから、村田が「少しインターバルを置いたほうがいいような気がする」というように、オーバーホールが必要な時期にきているのかもしれない……。
日本のファンにとって今回の一戦は、WBO同級王者、井上が現地まで観戦に出かけたこともニュースだった。井上は2014年末にオマール・ナルバエス(アルゼンチン)に圧勝したことで、海外でも日本の“モンスター”として知られるようになった。
試合を全米に中継した大手ケーブルテレビ局HBOのリポーターは「イノウエとのスーパーファイトが期待されるが?」とゴンサレスに質問。激戦を終えたばかりのゴンサレスは「もちろん喜んでやる」と王者のプライドを見せた。
ロマゴンには重すぎ、井上には軽すぎる階級。
現地からの情報によると、両陣営は“スーパーファイト”に前向きな姿勢を見せたという。試合後には井上がゴンサレスの控え室を訪れて勝利を祝福した。お膳立ては整った。あとはタイミングということになるが、これは急ぐ必要があるのではないか。
最大のポイントはウェイトだ。ミニマム級上がりのゴンサレスは、クアドラス戦を見る限り、スーパーフライ級にフィットしているとは言い難かった。今回の試合をへて「やはり自分にはフライ級が合っている」という思いを抱いても不思議ではない。一方の井上はスーパーフライ級でも減量がきつくなっている。本人が弱音を吐くことはなくとも、大橋秀行会長はこれを認めている。今月4日の試合では腰を痛めていたが、減量の影響もあったのではないだろうか。
今のところ井上は年末に防衛戦を行う予定で、WBA王者のルイス・コンセプシオン(パナマ)と対戦交渉に入っている。もしこれが実現した場合、井上はWBOとWBAのベルトを統一して、WBC王者のゴンサレスと拳を交える、というのが理想的なパターンではないだろうか。