ボクシング拳坤一擲BACK NUMBER
ロマゴンと井上尚弥が遂に同階級に!
世紀の一戦の実現は“義務”である。
text by
渋谷淳Jun Shibuya
photograph byAFLO
posted2016/09/12 11:30
46戦46勝38KO。前傾姿勢を崩さずに前に出続けるローマン・ゴンサレス(左)は、いつも「倒す」という意志をみなぎらせている。
新旧の怪物が激突する姿を、なんとしても見たい。
アメリカで対戦するのなら、その前に井上が一度はアメリカのリングで試合をしたほうが確かにいい。今回の訪米で井上はファンからサイン攻めにあい、思いのほか顔が売れているということがわかったが、やはり実際の試合で一度ガツンと強いところを見せておくにこしたことはない。このあたりのことも考慮すると、両者の対戦は最大に延ばしたとしても2017年中ということになる。ゴンサレスのコンディションという観点に立てば、少し間を置いたほうがいいという考え方もできるだろう。
今回苦戦したからといって、ゴンサレスの実力が急激に落ちたということはない。クアドラス戦でも、相手の逃げるところ逃げるところへと容赦なく繰り出す連打や、相手を追い込んでいく滑らかな足の動きは健在だった。これは間違いなく世界のトップである。
対する井上も、拳のケガもありパフォーマンスはまだ不安定なところがあるにせよ、ハマったときの強さは別格だ。両者の対決は紛れもなく軽量級のドリームマッチなのである。
この試合は必ず実現しなくてはならないと思う。新旧の怪物が激突する姿をファンに提供するのは、ボクシング界の義務と言えるだろう。