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一度は失格の烙印を押されたが……。
森友哉は西武の正捕手になり得るか?
text by
市川忍Shinobu Ichikawa
photograph byKiichi Matsumoto
posted2016/09/07 11:30
8月31日には捕手としてプレーし、9回裏には劇的なサヨナラ打を決めた森。正式捕手&大打者として、ファンの期待は大きい。
守備位置よりも一軍の試合出場を最優先に。
森は言う。
「自分はとにかく一軍の試合に出ることが最優先で、出られるのであればどのポジションでもしっかりやろうという気持ちです。とにかく試合に出ないことには始まらない」
与えられたポジションで全力を尽くすという森に、キャッチャーとして出場する際の心構えを聞いてみた。
「準備は前の日の夜から始めます。それほどきっちりというわけではないですけど、対戦するバッターの映像を見て、“最近はヒットをよく打ってるな”とか、苦手なところ、得意なところなどを頭に入れます。そのあと、当日の試合前にミーティングがあるので、そこでコーチといろいろ話をしながら細かいことを決めていくという感じです」
ただし、相手の傾向を頭に入れ、どれだけ準備をしても、バッテリーを組む投手の状態も日々、違う。8月27日の日本ハム戦で先発した高橋光成は序盤からコントロールに苦しみ、ストレートを始めとしてフォークなどの変化球もすべてが荒れていた。思い描いていた通りのリードはできない状態だった。
捕手の負担は大きいが打撃は「全く別のもの」。
「もちろんデータは頭に入れているんですけど、あとは感性も必要だと思うので、ピッチャーの調子とか、今日は何か違うなとか、考えながら配球しています。カウントに苦しんでいるときも、とりあえずストライクを取らないと何も始まらないし、ボールが先行するとテンポも悪くなるので、コースにきっちり要求するというよりは、ある程度、ゾーンの中で勝負していく配球をしていきます」
高橋光成、多和田のように若い投手を引っ張るときには、腕を振って思い切り投げることを優先していると話す。
では、そうやってキャッチャーとして試合に出場しているとき、森の神経は守備とバッティング、どちらに重きが置かれているのだろうか。
「どちらが……とかはないですね。バッティングはバッティングで割り切っているし、守りも集中している。全く別のものと考えています」